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飼育

ボールパイソンのお迎え準備|ケージは先に立ち上げる。説明義務の18項目のうち、爬虫類にかかるのは15項目です

eyecatch

お迎えの準備は、たいてい買い物リストの形で語られます。ケージ、ヒーター、サーモ、シェルター、水入れ、床材——揃えるものは、当店でも1つずつ記事にしてきました。

ただ、品目を並べるだけでは落ちるものがあります。順番です。そして「揃った」と「使える状態になった」は別だということ。この記事は、品目の解説ではなくその2つを扱います。個々の器具の選び方は、それぞれの記事へのリンクに任せます。

もうひとつ、調べていて意外だったことを先に書きます。爬虫類の販売では、売る側が渡す前にやらなければならないことが法令で決まっています。事業所でその個体を直接見せること、対面で書面を使って説明すること、そして説明する項目が環境省令に並んでいること。項目は18個ありますが、うち3つは「哺乳類に属する動物に限る」と書かれているので、ボールパイソンでは15項目です。この15項目は、買う側から読むとそのまま質問リストになります。準備のうち、お金をかけずに済んで、効きがいちばん大きい部分かもしれません。

目次

  • 順番は「環境を作る → 個体を選ぶ」
  • 「安定している」を、どうやって確かめるか
    • 測る場所は3か所、測る時間帯は3つ
  • 売る側が、渡す前にやらなければならないこと
    • 事業所で現物を見せ、対面で書面を使って説明する
    • 18項目のうち、爬虫類にかかるのは15項目
    • 説明を受けたことに、署名などで確認を求められます
    • 「2日間以上の目視観察」と「輸送に耐える個体」
  • 15項目を、質問リストに読み替える
  • 受け取る日までに、手元にあるもの
  • 迎えた日から1週間、やらないこと
  • 当店 LilBalls の場合
  • まとめ
  • 参考にした資料
    • 法令・行政資料
    • 獣医学・動物福祉の資料
    • 当店の記事

順番は「環境を作る → 個体を選ぶ」

当店のボールパイソンとは?の記事では、迎えるまでの流れを「環境を作る → 個体を選ぶ」と書いています。逆にすると、慣れない環境に慌てて放り込むことになるからです。

この順番そのものを条文のように書いた資料は見当たりませんでした。ただし連れ帰る前に環境を整えておく——こちらのほうは、はっきり書かれています。英国 RSPCA のロイヤルパイソン(ボールパイソン)の資料には、「事前の知識と準備」という項目があります。

「ヘビを手に入れる前に、飼おうとする人がその動物について——飼育下でその動物の必要を満たす方法、どれくらい大きくなるか、どれくらい生きるかを含めて——調べることが決定的に重要である。そうして初めて、必要とされる専門的な世話と飼育環境を自分が提供できるのか、良い水準の世話を維持するための設備・時間・経済的手段・長期的な責任を持てるのかについて、情報に基づいた判断ができる。そのうえで飼い主は、適切な住まい・餌・必要な付属品を用意し、動物を家に連れ帰る前に、飼育環境が安定するようケージを準備することができる」

この文が「買う前」ではなく「連れ帰る前」と書いているところが実務的です。資料が求めているのは順番そのものではなく、受け取る時点で環境ができていることです。買うかどうかを決める段階と、実際に受け取る段階は分けられるので、先に個体を決めて受け取り日を数週間先に置き、その間にケージを立ち上げる——という進め方でも条件は満たせます。

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同じ段落に、病院を探すことも入っています

RSPCA は続けて、この期間が「初心者の飼い主にとっては、経験のある飼育者や専門家——この種の治療経験がある獣医など——を見つけて話をする時間にもなる」としています。病院は、具合が悪くなってから探すと間に合わないことがあります。探し方は爬虫類を診てくれる病院の探し方にまとめました。「エキゾチック対応」がヘビを診るという意味ではない、という話も書いてあります。

米国爬虫両生類獣医師協会(ARAV)のボールパイソンの飼育ガイドも、「必ずやること」の2番目に「新しく迎えたボールパイソンを、一般的な健康診断と寄生虫の検査のために、爬虫類を診る獣医のところへ連れていく」を挙げています。迎えたあとの最初の予定が受診になるのであれば、病院は迎える前に決まっている必要があります。

「安定している」を、どうやって確かめるか

では、「環境が安定している」はどうやって確かめるのか。資料には日数の入った指示が3つありました。数字はそれぞれ違い、見ているものも違います。

1つめと2つめは、RSPCA の「Taking your reptile home」です。「連れて帰る前に」の節に、3つの推奨が箇条書きで並んでいます。

「爬虫類を引き取る前に、その動物を待っている適切な環境があることが重要である。これを組み上げて少なくとも1週間動かし、すべてがどう動くかに自分が納得できること、そして出てくるかもしれない問題をつぶす機会を取ることを勧める」

「ケージの温度は、その爬虫類を家に連れ帰る前の少なくとも3日間、継続して維持されていること」

同じ数字は、ボールパイソンの種別ページにも出てきます。RSPCA のロイヤルパイソンの飼育アドバイスは、「ヘビを家に連れてくる」の節の冒頭でこう書いています。

「ヘビを導入する前に、必ずケージを組み上げて1週間動かすこと。そうすることで、ヘビを乱すことなく、加温と照明の調整や、エンリッチメント(環境を豊かにするもの)の追加に充てる時間ができる」

3つめは、当店のパネルヒーターの記事に書いた英国メーカー Pro Rep の取説で、導入前に少なくとも48時間の試運転を求めています。

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48時間・3日・1週間は、競合する数字ではありません

まず、どれも「これだけやれば足りる」という意味の数字ではありません。Pro Rep の48時間について、当店のパネルヒーターの記事では「1回測って終わりにしないという意味です」と書きました。昼と夜と暖房を止めた時間帯を通して見るための長さです。RSPCA の1週間は「すべてがどう動くかに自分が納得でき、出てくるかもしれない問題をつぶす」ための時間として、RSPCA の3日は時間の長さではなく結果の条件——連れ帰る前の3日間、温度が途切れずに保たれていたこと——として書かれています。3つは目的が排他的に分かれているのではなく、重なっています。ロイヤルパイソンのページは床材の節でも、カビが出るようなら湿度が高すぎて換気が足りないとしたうえで、「これが、ヘビを迎える前に1週間ケージを動かしておく理由のひとつで、そうすれば湿度を調整できる」としています(正確には「爬虫類用の有機土を使っていてもカビが出はじめるなら、湿度が高すぎ、換気が十分でないかもしれない」という書き方です)。

ここから先は、当店が組み立てた段取りです。RSPCA の1週間と3日は、独立した2つの箇条書きであって、入れ子の形——1週間のうちの最後の3日——では書かれていません。それでも1本の線に並べるなら、1週間動かしたうちの終わりの3日間、温度が狙いの帯から動かずに済んでいた——これを当店は「安定している」の目安にしています。なお、どの資料にも「3日に満たなければ危険」とは書かれていません。また RSPCA が書いているのは温度が保たれていたという結果であって、「設定に触るな」という操作の指示ではありません。帯から外れていたら、3日目でも直してください。直したなら、そこから数え直すだけです。なお「Taking your reptile home」は、RSPCA が保護施設から引き取る人に向けて書いた案内です(別の節では、施設で始まった90日の検疫の残りを家庭で終わらせるよう勧めています)。すでに飼っている個体を移す場面を扱った文書ではない点も含めて、引っ越しの記事で先に引いています。

「動かす」は、ヘビを入れない状態で運転し続けることです。昼・夜・暖房が止まる時間帯を通して値を見ます。

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サーモスタットは、繋いだ日に正しい設定値が分かるものではありません

サーモスタットの記事に書いたように、サーモの表示はセンサーがある場所の温度です。ヘビが乗る面が何度になるかは別に測るしかなく、設定値はその実測から逆算します。この逆算は、ヘビがいない間にやっておく作業です。ただし逆算は、センサーの位置と固定方法を製品の指定どおりにしたうえでの話です。面の温度さえ合えばセンサーをどこに置いてもよい、という意味ではありません。入れてから探り始めると、探っている数日のあいだ、温度が外れたままになります。

受け取る日からの逆算。1週間と3日は RSPCA の同じ資料、48時間は Pro Rep の取説。工程としてこの順に並べたのは当店です

ボールパイソンを受け取る日から逆算した準備の流れを3つに分けた図。見出しの下に、ヘビを入れない状態で動かし続けること、2つの資料にある3つの日数を当店が工程として並べたものであることが書かれている。7日前はケージを組み上げて運転を開始し、シェルター2つ・水入れ・床材まで入れて本番の構成にしておく。RSPCA の「少なくとも1週間動かす」を添えている。7日前から5日前は、運転の初日から測り続ける期間。ホット側の床面・クール側・シェルターの中を、昼と夜と暖房が止まる時間帯に測る。Pro Rep の取扱説明書の「少なくとも48時間の試運転」を添えている。3日前から当日は、温度が狙いの帯に保たれていることを確かめる期間。外れたら直して数え直す。湿度と換気はここまでに調整する。RSPCA の「前の少なくとも3日間、継続して維持」を添えている。下の赤い枠に、ARAV は新しく迎えた個体を順応のため1〜2週間そっとしておくことを勧めていること、それは給餌を何日禁じる記述ではなく初回の給餌は直前の給餌日・年齢・状態から決めること、温度や湿度が狙いの帯から外れたらこの期間でも原因を確かめて直すことが書かれている。青い枠に、先にいる個体と分けておく期間はこの1〜2週間とは別であり、感染症対策の検疫は月の単位で、順応が終わったことは検疫が終わったことを意味しないと書かれている。最下部に、1週間と3日は RSPCA の同じ資料、48時間は Pro Rep の取説であり、目的は重なっていて、工程としてこの順に並べたのは当店であると書かれている。

測る場所は3か所、測る時間帯は3つ

何を見るかは当店の記事に分かれて書いてあるので、ここでは立ち上げのときにやる確認として並べ直します。

  • ホット側の床面ヘビが腹を乗せる面です。適温の記事の帯に収まっているか。空気の温度ではなく面の温度を見ます

  • クール側の床と空気ホット側との差ができているか。差が出ていないときに疑うのは、たとえばヒーターの敷きすぎ、ケージが小さい、室温が高い、測っている位置がずれている——このあたりです。原因はこれで尽きるわけではありません

  • シェルターの中実際にいちばん長く過ごす場所です。シェルターの記事のとおり、ホット側とクール側に1つずつ置いてから測ります

  • 時間帯は昼・夜・暖房が止まる時間同じ設定でも、明け方の冷えた部屋では面の温度が変わります。冬の保温の記事で書いた最高最低温度計が、ここで効きます。見ていない時間にどこまで振れたかは、最高最低温度計やデータロガーのように記録が残るものでないと分かりません

測る道具そのものの選び方は温湿度計の記事にあります。空気の温度と床の表面温度は別物で、やけどに効くのは後者です。英国王立獣医大学(RVC)のロイヤルパイソンの飼育資料(2024年12月改訂)も、「熱源はサーモスタットにつなぎ、そのうえで温度は別途、デジタル式の最高最低温度計で測って、適切な温度範囲が達成されていることを確認すること」としています。

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湿度は、立ち上げの数字をそのまま信じないでください

空のケージと、床材・水入れ・シェルターが入って生体が呼吸しているケージでは、湿度の出方が変わります。湿度の記事に書いたとおり、湿度計の数字は温度が動くだけで動きます。立ち上げで見るのは「狙いの帯に入れられるか」までで、確定するのは迎えたあとです。資料によって推奨値が 50〜60% と 60〜80% に分かれている点も、先に読んでおいてください。

売る側が、渡す前にやらなければならないこと

ここからは制度の話です。買う側の義務ではなく、売る側の義務を並べます。買う側にとっては「何を受け取れるか」の一覧になります。

事業所で現物を見せ、対面で書面を使って説明する

根拠は動物の愛護及び管理に関する法律(昭和48年法律第105号)の第21条の4です。

「第一種動物取扱業者のうち犬、猫その他の環境省令で定める動物の販売を業として営む者は、当該動物を販売する場合には、あらかじめ、当該動物を購入しようとする者(第一種動物取扱業者を除く。)に対し、その事業所において、当該販売に係る動物の現在の状態を直接見せるとともに、対面……(対面によることが困難な場合として環境省令で定める場合には、対面に相当する方法として環境省令で定めるものを含む。)により書面又は電磁的記録……を用いて当該動物の飼養又は保管の方法、生年月日、当該動物に係る繁殖を行つた者の氏名その他の適正な飼養又は保管のために必要な情報として環境省令で定めるものを提供しなければならない。」

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括弧書きは、2つの義務で非対称です

当店の選び方の記事で先に整理したとおり、現物確認(事業所でその個体を直接見せること)のほうには、条文上の例外がありません。例外の括弧書きが付いているのは対面説明のほうです。しかも「対面によることが困難な場合として環境省令で定める場合」を定める規定は、施行規則に置かれていません(施行規則の全文を「対面」で検索しても、該当する箇所がありません)。

「環境省令で定める動物」が何かは、同法施行規則(平成18年環境省令第1号)の第8条の2第1項が決めています。「法第二十一条の四の環境省令で定める動物は、哺乳類、鳥類又は爬虫類に属する動物とする。」——ボールパイソンは、ここに入ります。

環境省も第一種動物取扱業者の規制のページで、同じ内容をかみ砕いて書いています。「動物(哺乳類・鳥類・爬虫類)を販売する場合には、あらかじめ、動物を購入しようとする者に対して、事業所において、その動物の現状を直接見せる(現物確認)と共に、その動物の特徴や適切な飼養方法等について対面で文書(電磁的記録を含む)を用いて説明(対面説明)することが必要となります。(例えばインターネット上のみで売買契約を成立させることは禁止されています。)」

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「事業所において」と書かれています

条文が指定しているのは場所も含みます。即売会やイベントについては、当店の購入はどこで?の記事で調べたとおり、国内の大きな即売会は会場の住所を事業所として、業種「販売」の登録番号つきで掲示しています。出品者がブースの前に登録済みの標識を出す運用も見られます。そのうえで、個々の取引が条文を満たしているかどうかの判定は当店ではしません——登録や基準の運用は都道府県・政令市の動物愛護管理行政の担当部局が見ているので、気になる場合はそちらに確認してください。買う側として言えるのは、この種の説明と現物確認が省かれる取引は、省いてよいものではないということだけです。売り場の種類ごとの見方は購入はどこで?の記事にまとめています。

18項目のうち、爬虫類にかかるのは15項目

「環境省令で定めるもの」——つまり説明される情報の中身は、施行規則第8条の2第2項に18個並んでいます。環境省のページも「対面説明が必要な18項目」としてこの一覧にリンクしています。

ただし、よく読むと3つの号に「哺乳類に属する動物に限る」という括弧書きが付いています。

  • 八号不妊又は去勢の措置の方法及びその費用(哺乳類に属する動物に限る。)

  • 十三号不妊又は去勢の措置の実施状況(哺乳類に属する動物に限る。)

  • 十七号当該動物の親及び同腹子に係る遺伝性疾患の発生状況(哺乳類に属する動物に限り、かつ、関係者からの聴取り等によっても知ることが困難であるものを除く。)

つまりボールパイソンの販売で関係してくるのは、18項目のうち15項目です。

ただし「15項目が必ず全部埋まる」という意味ではありません。種の違いではなく、取引や個体の条件で決まる括弧書きが別にあります。十五号(所有者の氏名)は「自己の所有しない動物を販売しようとする場合に限る」、九号(みだりな繁殖を制限するための措置)は不妊去勢を不可逆的な方法で実施済みの場合を除く、十二号(生年月日)は不明な輸入個体なら推定の生年月日と輸入年月日等でよい、と書かれています。「爬虫類であることを理由に外れるのは、この3つだけ」という読み方をしてください。残る15項目にも、取引や個体の条件で適用や書き方が変わる号があります。

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「哺乳類に限る」が付いていない号は、ヘビでも説明の対象です

混同されやすいのが十六号「当該動物の病歴、ワクチンの接種状況等」です。ワクチンの話が入っているので哺乳類向けに見えますが、この号に限定の括弧書きはありません。個体の病歴は、ヘビでも説明の対象です。同じく九号(みだりな繁殖を制限するための措置)にも、哺乳類限定は付いていません(不妊去勢を不可逆的な方法で実施済みの場合を除く、という別の括弧書きは付いています)。外れるのは八号・十三号・十七号の3つだけで、繁殖の管理という項目ごと消えるわけではありません。なぜこの3つに限定が付いているのかは、条文自身が説明していないので、ここでは推測しません。

施行規則 第8条の2第2項の18項目。「哺乳類に属する動物に限る」が付いているのは八号・十三号・十七号の3つだけです

爬虫類の販売で説明される項目を整理した図。動物愛護管理法 第21条の4と同法施行規則 第8条の2第2項が根拠。「哺乳類に限る」が付いていない15項目として、一 品種等の名称、二 性成熟時の標準体重・体長、三 平均寿命その他の飼養期間、四 適した飼養施設の構造及び規模、五 適切な給餌及び給水の方法、六 適切な運動及び休養の方法、七 共通感染症その他の疾病と予防方法、九 みだりな繁殖を制限する措置、十 遺棄の禁止その他の関係法令、十一 性別の判定結果、十二 生年月日、十四 繁殖を行った者の氏名・登録番号、十五 所有者の氏名、十六 病歴、ワクチンの接種状況等、十八 その他、必要な事項が並んでいる。九・十二・十五の3つには米印が付いていて、種の別ではなく取引や個体の条件で適用や説明内容が変わる括弧書きが付いている号であること、また七号と十四号は図の中では要約であり、条文は「かかるおそれの高い疾病の種類及びその予防方法」「氏名又は名称及び登録番号又は所在地」であることが注記されている。「哺乳類に属する動物に限る」と書かれている3項目として、八号の不妊又は去勢の措置の方法及びその費用、十三号の不妊又は去勢の措置の実施状況、十七号の親及び同腹子に係る遺伝性疾患の発生状況に取り消し線が引かれている。下の青い枠に、十六号「病歴、ワクチンの接種状況等」に限定の括弧書きはなくヘビでも説明の対象であることが書かれている。赤い枠に、説明を受けたことについて顧客に署名等による確認を行わせること(基準省令 第2条 第7号ヘ)と書かれている。最下部に、号の番号は施行規則 第8条の2 第2項のもので、e-Gov 法令検索で2026年10月18日に確認したと書かれている。

説明を受けたことに、署名などで確認を求められます

もうひとつ、第一種動物取扱業者及び第二種動物取扱業者が取り扱う動物の管理の方法等の基準を定める省令(令和3年環境省令第7号)の第2条第7号ヘに、こう書かれています。

「販売業者にあっては、法第二十一条の四の規定に基づき情報を提供した際は、当該情報提供を受けたことについて顧客に署名等による確認を行わせること。」

紙にサインを求められる場面は、ここに根拠があります。書類が出てくるこの場面は、項目を1つずつ目で追える数少ないタイミングです。空欄や「不明」になっているところは、署名の前に聞いてください(署名したら聞けなくなる、という条文ではありません)。十二号(生年月日)が推定になっていること自体は、輸入個体では条文が想定している書き方ですが、国内で繁殖された個体なら、ふつうは日付が入ります。

「2日間以上の目視観察」と「輸送に耐える個体」

同じ基準省令の第2条第7号には、売る側が販売に出す個体の状態について守る基準も入っています。犬猫限定の括弧書きが付いていない2つを引きます。

  • ハ「販売業者及び貸出業者にあっては、飼養環境の変化及び輸送に対して十分な耐性が備わった動物を販売又は貸出しに供すること。」

  • ニ「販売業者及び貸出業者にあっては、二日間以上その状態(下痢、おう吐、四肢の麻痺等外形上明らかなものに限る。)を目視によって観察し、健康上の問題があることが認められなかった動物を販売又は貸出しに供すること。」

買う側から読むと、「この個体は、少なくとも2日分の観察を経てここに並んでいる」ということになります。だからその2日に何があったかを聞く相手がいます。直前の給餌はいつで、食べたのか。排泄はあったか。脱皮はいつだったか。ただしこの号が求めているのは観察して販売に供することで、記録を作って見せる義務までを書いた条文ではありません。答えられるかどうかは、売る側の記録の付け方によります。ハの「輸送に対して十分な耐性」も、これから自分が運ぶことを考えると他人事ではありません。移動の段取りは冬に迎える記事に、気温の低い時期を想定して書いてあります。

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条文があることと、見た個体が健康であることは別です

基準があるからといって、自分の目で見る作業を省いてよいことにはなりません。何を見るかは選び方の記事にまとめました。見ても分からないものがある、という話も同じ記事に書いています。RSPCA の資料も健康・不健康のサインを列挙しています。なお同じ PDF には、リーフレット全体にかかる断りとして「これは基本的な情報にすぎない。それでもこの動物を世話できると思うなら、責任を引き受ける前に、さらに専門的な情報を得なければならない」と書かれています。

15項目を、質問リストに読み替える

条文の文言は、そのままでは質問の形になっていません。号ごとに「何を聞くか」に置き換えました。番号は施行規則第8条の2第2項のものです。

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「個体を見極める」側は、選び方の記事にあります

同じ18項目を、当店の選び方の記事では「個体選びに直接効くのは5つ」という切り口で扱っています。あちらは目の前の1匹を迎えるかどうかを決めるための読み方、こちらは受け取りまでに何を聞いて何を持ち帰るかの読み方です。一号・十一号・十二号の読み方は選び方の記事のほうが詳しいので、重なる部分はそちらへ送ります。

  • 一号 品種等の名称条文は「品種等の名称」としか書いていないので、モルフ名まで書く義務があると読めるわけではありません。そのうえで当店は、「何というモルフで、その判断の根拠は何ですか」まで聞くことをおすすめします。コンボなら何と何が入っているかを分けて。見た目で確定できない遺伝子(ヘテロ)が主張されているなら、その根拠が親の組み合わせなのかを確かめてください。考え方はモルフとは?の記事と対立遺伝の記事にあります

  • 二号 性成熟時の標準体重・体長条文が書いているのは性成熟したときの大きさで、生涯の最大値とは別のものです。2つに分けて聞いてください——「性成熟のころで、どのくらいの大きさになりますか」と、「その後も伸びるとして、成体用のケージはどのくらいを見ておけばいいですか」。後者がケージの最終サイズの話になります。成長の速さは大きさと成長速度の記事、雌雄の差はオスとメスの違いの記事へ

  • 三号 平均寿命その他の飼養期間「何年くらい生きる前提で考えればいいですか」。何十年の話になります。当店の寿命の最長記録の記事に書いたとおり、長い数字には在園期間と推定年齢の区別があります。短めの数字を見たときも、その数字がいつの資料のものかを見てください

  • 四号 適した飼養施設の構造及び規模「成体になったとき、最低どのくらいのケージが要りますか。その数字はどこの基準ですか」。売る側が何を基準にしているかまで聞けます。当店のケージサイズの記事には、床面積で考える物差しと全長で考える物差しの両方を並べています

  • 五号 適切な給餌及び給水の方法今まで何を、どのサイズで、どの間隔で食べていたか。直前の給餌日も。餌が切り替わると食べないことがあるので、ここは具体的に聞く価値があります。サイズと頻度は餌の記事、餌そのものは姉妹店のLil Ratsで扱っています

  • 六号 適切な運動及び休養の方法「この個体はふだんどのくらい動いていますか。登れるものは使っていましたか」。運動の側は、ケージの広さと、登れる構造があるかどうかに出ます。休養の側は隠れ場所と温度勾配です。シェルターの記事と適温の記事へ。ハンドリングの扱いは持ち方の記事で、休養の側——触らない時期——も書いています

  • 七号 主な人と動物の共通感染症その他の、かかるおそれの高い疾病の種類と予防方法号の後半を落とさないでください。人にうつる病気(ヘビではサルモネラ)だけでなく、その個体がかかりやすい病気そのものが入っています。呼吸器感染症・マウスロット・脱皮不全・ダニは、ここで聞ける話です。サルモネラについては、RVC は「すべての爬虫類はサルモネラを持っている可能性がある」「ヘビに触ったあとの衛生が重要で、ふつうは石けんで手を洗えば十分」としています。子どもがいる家庭での扱いは子どもがいる家庭での記事にまとめました

  • 九号 みだりな繁殖を制限するための措置1匹で飼うなら、意図せず増えることはありません。2匹目以降を同じ部屋で飼う計画があるなら、ここが効いてきます。RSPCA は「ロイヤルパイソンは野生では単独で生活するので、飼育下でも単独で飼うべきである(繁殖のために同居させる場合を除く)」としています

  • 十号 遺棄の禁止その他の関係法令による規制「この種で、飼い主側にかかる法令上の制限はありますか」。ボールパイソンは特定動物に指定されていません(施行令の別表を当店で確かめた話は、子どもがいる家庭での記事にあります)。ただし、それは「規制が何も無い」とは別のことです。逸走させない責務は残り、賃貸の契約条項は法令とは別に残ります(賃貸で飼える?の記事)。万一のときの手順は脱走したときの記事へ

  • 十一号 性別の判定結果「判定結果」という書き方なので、どう判定したのかを聞けます。外見で決まるものではない、という話はオスとメスの違いの記事に書きました

  • 十二号 生年月日輸入個体で不明な場合は推定の生年月日と輸入年月日でよい、と条文が書いています。逆に言えば、国内繁殖なら日付が入るのが普通です。日付は体重の記録を読むときの起点になります(ベビーの立ち上げの記事)

  • 十四号 繁殖を行った者の氏名・登録番号この号が、売っている人と繁殖した人の関係を書面に出します。聞き方は購入はどこで?の記事にまとめました

  • 十五号 所有者の氏名「自己の所有しない動物を販売しようとする場合に限る」という条件付きです。委託販売なら、ここに別の名前が入ります

  • 十六号 病歴、ワクチンの接種状況等ヘビでも対象です。治療歴・投薬歴・拒食の期間があれば、ここに出ます。「特になし」と書かれていたら、それはそれで記録として受け取ってください

  • 十八号 その他、適正な飼養・保管に必要な事項包括の号です。前の17個の号に収まらなかったことを、ここで聞けます——直近の脱皮日、ふだんの温度と湿度の設定値、使っていた床材とシェルターの形、ラックで育ったのかケージで育ったのか。ただし、ここに挙げたものが一律に法定の説明事項になる、という意味ではありません。聞ける場所がここにある、という話です

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この15項目は、説明する側にとっても使えます

当店は販売もしているので、受け取る側だけでなく渡す側でもあります。渡すときの書面を、この15項目の順に並べておくと、聞かれる前に書いてある状態になります。業として繁殖・販売を始める側の話は繁殖を始める前にの記事にまとめています。

受け取る日までに、手元にあるもの

品目ごとの選び方は、それぞれの記事に書いてあります。ここでは「受け取る日に無いと困るもの」だけに絞ります。あとから足せるものは、あとで足してかまいません。

  • ケージ/ラック逃げられない構造が最優先です。ARAV が住まいの条件に挙げている最後の1行が「脱走できないこと」です。サイズの記事/システムラックの記事

  • 保温器具とサーモスタット、そして熱源のガードセットで1つの道具です。サーモ無しで加温する構成は選ばないでください。そしてヘビが熱源に直接触れられないこと——引いている3つの資料がそろって書いています。RSPCA は「誤った照明と加温、あるいは熱源にヘビが直接触れるのを止める保護ガードを使わないことは、ヘビの皮膚のひどいやけどにつながりうる」、RVC は「熱源は、熱傷を防ぐためにガードされていること」、ARAV は避けるものに「加熱素子への直接接触」と「ホットロック(加温する石)」を挙げています。製品が指定する設置方法でヘビの直接接触を防げない構成は、選ばないでください。パネルヒーター/サーモスタット/器具の使い分け

  • 測るもの温湿度計は2か所。面の温度を測れるものを別に1つ。温湿度計の記事

  • シェルター2つホット側とクール側に1つずつ。RSPCA も「冷たい側と暖かい側の両方に1つ必要」と書いています。シェルターの記事

  • 水入れ全身が浸かれる大きさで、倒れない重さ。水入れの記事

  • 床材最初はペットシーツやキッチンペーパーで十分です。汚れがすぐ分かるほうが、最初の数週間は有利です。床材の記事

  • 運ぶもの布袋と、換気できる箱。RSPCA は穴の無い厚手の布袋を口できつく縛り、換気できる丈夫な箱に細かく切った新聞紙を敷いて入れる方法を挙げ、輸送中の温度は21〜24℃としています(この数字は PDF の「Handle with care」のもので、現行のウェブ版には温度の数字がなく「極端な温度を避ける」という書き方に替わっています)。ARAV は短距離なら枕カバーや蓋の閉まる容器を挙げています。寒い時期に熱源を使うなら、容器の中に入れないでください。RSPCA は「熱源を輸送容器の中に直接置いてはならない。爬虫類が熱源の上や周りに居座った場合に熱傷の危険があり、熱くなりすぎても動かないことがあるからである」、「熱源はタオルで包み、輸送箱の外側の、片方の端に接するように置くことができる」としています。箱の外に置くのは接触を防ぐためで、それだけで熱くなりすぎない保証にはなりません。RSPCA のウェブ版も「保温パックは使ってよいが、環境を過熱させないようにすること」としています。移動時間そのものも最小限に、とも書かれています。冬に迎える記事

  • 病院の連絡先器具ではありませんが、これが揃っていないと詰みます。RSPCA が「連れて帰る前に」の3つめの箇条書きに挙げているのも、「最寄りのエキゾチック専門の獣医を見つけて登録しておくこと。必要になったときに専門的な治療へ速やかに、かつ容易にかかれるようにするため」です。病院の探し方

逆に、受け取る日に無くてもいいものもあります。餌は迎えた直後には与えません(次章)。紫外線(UVB)の器具は、入れるべきかどうかで資料が割れているところなので、受け取り日までに決着させなくても進められます(夜行性と紫外線の記事)。ただし「照明ぜんぶ後回し」ではありません。昼と夜の明暗の周期をどう作るかは、ケージを動かし始める時点で決まっている必要があります。RSPCA がケージを1週間動かす理由に「加温と照明の調整」を挙げているのは、この部分です。停電対策の道具は、停電対策の記事を読んでから季節に合わせて足せば足ります。

迎えた日から1〜2週間、やらないこと

準備の最後の項目は、やらないことを決めておくことです。ここを決めずに迎えると、良いことをしようとして逆を踏みます。

ARAV は「必ずやること」の3番目に、こう書いています。「新しく購入したヘビを、新しい家に順応させるため、1〜2週間はケージの中で放っておく」。RSPCA の飼育アドバイスのページも、ケージに入れたら「扉をしっかり閉め、ストレスを減らすために翌朝まで消灯する」「最初の1週間は不必要にハンドリングしないのが最善で、そのかわり新しい環境に慣れる時間を与える」としています。

  • 触らない体重を測るのも、しばらく待ちます。何をもって「落ち着いた」とするかは持ち方の記事へ

  • 初回の給餌を急がないRSPCA は「ニシキヘビは新しい環境に順応するまで時間がかかり、数週間にわたって餌を食べないことがある」としています。これは「食べなくても慌てなくてよい」という記述であって、「何日間は与えてはいけない」という指示ではありません。いつ出すかは、直前の給餌日・年齢・状態から決めることになります——当店は落ち着いてから、という進め方をしています。ただし長引く場合は別の話で、拒食の記事と拒食中にやりがちな対応の記事を先に読んでおいてください

  • 環境を「気になるから」で動かさない温度と湿度が気になって設定をいじり続けると、何が効いたのか分からなくなります。立ち上げで決めた設定を、まず数日は通してください。ただしこれは放置するという意味ではありません。狙いの帯から外れたら、順応の期間でも原因を確かめて直します。そもそも立ち上げのときと、生体が入ったあとでは湿度の出方が変わります(この記事の前半に書いたとおりです)

  • 先にいる個体と同じ部屋に入れない2匹目以降なら、ここが最重要です。そしてこれは、いま書いている「1〜2週間」とは別の時計で動きます。順応のために静かにしておく期間と、感染症を持ち込まないための検疫の期間は、目的も長さも違います。1〜2週間たったから一緒にしてよい、ということにはなりません。当店の検疫の記事が資料から挙げている期間は3〜6か月で、同記事は「同じ部屋の別のケージは、この条件を満たしません」とも書いています。この章の「1〜2週間」とは桁が違うので、持ち込んでこないでください。ダニが出たときはダニの記事へ

やらないことの裏返しで、毎日やることはあります。水を換える、温度と湿度を見る、排泄があれば取り除く、そして離れたところから個体の見た目・呼吸・姿勢を見る。「放っておく」は、見ないことでも掃除をしないことでもありません。何をどの頻度で見るかは健康チェックの記事に、資料の原文を当たって書きました。

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受診だけは、待たない側に入ります

「1〜2週間は放っておく」は、異常があっても待つという意味ではありません。ARAV が受診を「必ずやること」に入れていることとも矛盾しません。開口呼吸・口の中の異常・水疱・体に張りついたままの皮・ゴマ粒より小さい黒い点——こうした所見は、順応を待つ対象ではありません(呼吸器感染症/マウスロット/脱皮不全)。

当店 LilBalls の場合

当店の環境は、1匹を迎える方の環境とは前提が違います。多頭でラックを使い、部屋ごと環境を作っています。そのうえで、公開済みの記事に書いている設定を並べておきます。

  • 温度適温の記事に書いたとおり、年間を通して27〜28℃。時期による上げ下げも、繁殖のためのクーリングも行っていません。ただしこれは「空間の温度」の設定で、勾配を無くすという意味ではありません。同じ記事が挙げている帯は、ホットスポットの表面温度で30〜33℃、クール側で24〜28℃です。先に勾配を作り、そのうえで揺らさない——この順番です

  • 湿度湿度の記事のとおり、ARAV と同じ60〜80%を目安にしています。これは部屋ごと環境を作っているという前提での選択で、50%台で安定している環境を否定するものではありません

  • 空間の作り方エアコンで空間の温度を確保し、自動制御を組み合わせる。器具の役割分担は保温器具の使い分けの記事へ

  • シェルターこの記事では「受け取る日に2つ」を勧めましたが、当店は置いていません。シェルターの記事に書いたとおり、ラックで管理していて部屋ごと静かで暗く、引き出し自体が不透明で天井が低いので、それで「身を隠して休める」は満たせていると判断しているためです。ただし同じ記事に書いたとおり、これは当店の判断で、資料の裏づけがあるわけではありません。RVC も RSPCA も、ケージの暖かい側と涼しい側の両方に隠れ家を置くことを求めています。当店の運用は、引用した資料の推奨とは差があります。これから1匹を迎える方に当店のやり方をすすめているわけではないので、受け取る日のリストのほうは資料どおり2つにしてあります

1匹を迎える方がこの設定をそのまま真似する必要はありません。参考にしてほしいのは数字ではなく、「揺らさないこと」を目標に置いている点です。立ち上げに時間をかけるのは、そのための準備です。

まとめ

  • 順番は「環境を作る → 個体を選ぶ」。RSPCA は「適切な住まい・餌・必要な付属品を用意し、動物を家に連れ帰る前に、飼育環境が安定するようケージを準備する」と書いている。買う段階と受け取る段階は分けられる
  • 「安定」の確かめ方はヘビを入れずに動かし続けること。日数は資料で3つ出てくる——Pro Rep の取説が求める48時間(製品を安全に使うための最低限)、RSPCA の「少なくとも1週間動かす」(調整に充てる時間)、RSPCA の「連れ帰る前の少なくとも3日間、温度が継続して維持されていること」(調整が終わっている条件)。この3つを1本の線に並べたのは当店で、資料は入れ子の工程として書いていない。また3日のほうは温度が保たれていたという結果の条件で、「設定に触るな」という指示ではない
  • 測るときは、RVC が求める「熱源はサーモにつなぎ、そのうえで温度は別途、デジタルの最高最低温度計で測って範囲が達成されていることを確認する」。サーモの表示は、センサーのある1点の話でしかない
  • 見るのはホット側の床面・クール側・シェルターの中の3か所と、昼・夜・暖房が止まる時間帯の3つ。サーモの設定値は、面の実測から逆算する
  • 爬虫類の販売には事業所での現物確認と対面説明が義務づけられている(法第21条の4、施行規則第8条の2第1項で対象に爬虫類が明記)。環境省は「インターネット上のみで売買契約を成立させることは禁止されています」と書いている
  • 説明される項目は施行規則第8条の2第2項に18個。八号・十三号・十七号は「哺乳類に属する動物に限る」ので、ボールパイソンでは15項目。十六号(病歴等)には括弧書きが無いので、ヘビでも対象。ただし残る15項目が必ず全部埋まるという意味ではない——九号・十二号・十五号には、種とは別の条件を定める括弧書きが付いている
  • 基準省令第2条第7号ヘは、説明を受けたことについて顧客に署名等による確認を行わせることを求めている。書面が出てくるこの場面が、項目を1つずつ目で追える数少ないタイミング。空欄や「不明」は署名の前に聞く
  • 同じ第7号のハ・ニは犬猫限定ではなく、「輸送に対して十分な耐性が備わった動物」「2日間以上目視で観察して健康上の問題が認められなかった動物」を販売に供することを求めている。だからその2日に何があったかを聞ける
  • 15項目はそのまま質問リストになる。十八号(その他必要な事項)は包括の号なので、直近の脱皮日・ふだんの設定値・使っていた床材やシェルターの形をここで聞ける
  • 受け取る日に必要なのはケージ・保温+サーモ(+熱源のガード)・測るもの・シェルター2つ・水入れ・床材・運ぶもの・病院の連絡先。餌と、UVB を入れるかどうかの決着は、その日に無くても進められる。ただし昼夜の明暗の周期は、ケージを動かし始める時点で決まっている必要がある
  • 迎えてからは不必要に触らない・初回の給餌を急がない・設定を気分で動かさない。ARAV は「1〜2週間はケージの中で放っておく」としているが、これは順応のための指示で、給餌を何日禁じる記述ではない。また温湿度が帯から外れたら、順応の期間でも直す。異常所見の受診も待たない側
  • 先にいる個体と分けておく期間は、この1〜2週間とは別の時計で動く。当店の検疫の記事が資料から挙げている期間は3〜6か月で、同記事は「同じ部屋の別のケージは、この条件を満たしません」とも書いている

参考にした資料

法令・行政資料

  • 動物の愛護及び管理に関する法律(昭和48年法律第105号)(e-Gov 法令検索。第21条の4=販売に際しての情報提供の方法等。「その事業所において、当該販売に係る動物の現在の状態を直接見せるとともに、対面……により書面又は電磁的記録……を用いて」情報を提供する義務。購入しようとする者から「第一種動物取扱業者を除く」。第21条の5=帳簿の備付け/2026年10月18日閲覧)
  • 動物の愛護及び管理に関する法律施行規則(平成18年環境省令第1号)(e-Gov 法令検索。第8条の2第1項=法第21条の4の対象動物を「哺乳類、鳥類又は爬虫類に属する動物」とする規定。第8条の2第2項=説明する18項目。八号「不妊又は去勢の措置の方法及びその費用」・十三号「不妊又は去勢の措置の実施状況」・十七号「当該動物の親及び同腹子に係る遺伝性疾患の発生状況」の3つに「哺乳類に属する動物に限る」の限定があり、爬虫類では残る15項目が対象。十六号「当該動物の病歴、ワクチンの接種状況等」には括弧書きが無く、九号「みだりな繁殖を制限するための措置」には哺乳類限定が付いていない(不妊去勢を不可逆的な方法で実施済みの場合を除く、という別の括弧書きはある)/2026年10月18日閲覧)
  • 第一種動物取扱業者及び第二種動物取扱業者が取り扱う動物の管理の方法等の基準を定める省令(令和3年環境省令第7号)(e-Gov 法令検索。第2条第7号ハ=「飼養環境の変化及び輸送に対して十分な耐性が備わった動物」を販売又は貸出しに供すること。ニ=「二日間以上その状態(下痢、おう吐、四肢の麻痺等外形上明らかなものに限る。)を目視によって観察し、健康上の問題があることが認められなかった動物」を販売又は貸出しに供すること。ヘ=法第21条の4に基づき情報を提供した際は「当該情報提供を受けたことについて顧客に署名等による確認を行わせること」。ハ・ニ・ヘには犬猫限定の括弧書きが付いていません。なお同号ロ(離乳等を終えた動物を販売に供すること)は「哺乳類に属する動物に限る」、ホは第一種動物取扱業者を相手方とする販売の場合の規定/2026年10月18日閲覧)
  • 環境省「第一種動物取扱業者の規制」(「販売時の対面説明」の節。「動物(哺乳類・鳥類・爬虫類)を販売する場合には、あらかじめ、動物を購入しようとする者に対して、事業所において、その動物の現状を直接見せる(現物確認)と共に、その動物の特徴や適切な飼養方法等について対面で文書(電磁的記録を含む)を用いて説明(対面説明)することが必要となります。(例えばインターネット上のみで売買契約を成立させることは禁止されています。)」。「対面説明が必要な18項目」へのリンク、守るべき基準に「動物の状態の事前確認」「購入者に対する現物確認・対面説明」を挙げる/2026年10月18日閲覧)

獣医学・動物福祉の資料

  • RSPCA「Royal python care(Keeping a royal python as a pet)」(「Bringing your python home」の節=「Always set up the vivarium and run it for a week before introducing your snake. This will allow time for you to adjust the heating and lighting systems and add your enrichment without disturbing the snake.」、ケージに入れたあとは翌朝まで消灯、最初の1週間は不必要にハンドリングしない。床材の節=カビが出るようなら湿度が高すぎて換気が不足、「これがヘビを迎える前に1週間ケージを動かしておく理由のひとつで、そうすれば湿度を調整できる」。単独飼育、ハンドリングは1回10〜15分程度、給餌後48時間は扱わない/2026年10月18日閲覧)
  • RSPCA「Taking your reptile home」(PDF)(「Before you take your reptile home」の節=「We'd recommend that you get this set up and run it for at least a week…」、「The temperatures in the vivarium should have been constantly maintained for at least three days prior to the reptile being brought home.」、最寄りのエキゾチック専門獣医を見つけて登録しておくこと。輸送は成体のヘビなら口を縛った布袋を換気のよいプラスチック容器に入れる、熱源は容器の中に入れずタオルで包んで箱の外の片端に置く、移動時間は最小限に。「Settling in」の節=ケージに入れたら部屋の照明を消して翌朝まで放っておく、最初の1週間は不必要にハンドリングしない/2026年10月18日閲覧)
  • RSPCA「Handle with care: Royal or ball python」(PDF)(「Prior knowledge and preparation」の節=迎える前に調べること、「prepare the enclosure to ensure the captive environment is stable before taking the animal home」、この期間に経験のある飼育者やこの種の治療経験がある獣医を探せること。シェルターは冷たい側と暖かい側の両方に1つ必要。単独飼育。輸送は穴の無い厚手の布袋を口できつく縛り、換気できる箱に細かく切った新聞紙を敷いて入れ、温度は21〜24℃。「ニシキヘビは新しい環境に順応するまで時間がかかり、数週間にわたって餌を食べないことがある」。末尾に「THIS IS BASIC INFORMATION ONLY」の断り/2026年10月18日閲覧)
  • 英国王立獣医大学(RVC)「Royal python care」(2024年12月改訂、PDF)(「熱源はサーモスタットにつなぎ、そのうえで温度は別途、デジタル式の最高最低温度計で測って、適切な温度範囲が達成されていることを確認すること」。成体のケージは最低48×24×24インチ、湿度は50〜60%、サルモネラは「すべての爬虫類が持っている可能性がある」「ふつうは石けんで手を洗えば十分」/2026年10月18日閲覧)
  • 米国爬虫両生類獣医師協会(ARAV)「How to keep your ball python healthy, happy and safe!」(PDF)(「Always」の節=評判の良いブリーダーから買う、新しく迎えた個体を一般的な健康診断と寄生虫検査のため爬虫類を診る獣医のところへ連れていく、「Leave a newly purchased snake alone in its enclosure for 1-2 weeks to acclimate to its new home.」、短距離の輸送は枕カバーか蓋の閉まる容器。住まいの条件の最後に「be escape-proof」。湿度は60〜80%/2026年10月18日閲覧)

当店の記事

  • 順番と全体像=ボールパイソンとは?/飼育方法を全部ご紹介
  • 立ち上げと測り方=パネルヒーター(Pro Rep の48時間の試運転)/サーモスタット/温湿度計/適温(当店は年間27〜28℃)/湿度(当店は60〜80%を目安)/冬の保温
  • 器具=ケージのサイズ/システムラック/シェルター/水入れ/床材/保温器具の使い分け/停電対策/照明と紫外線
  • 個体を選ぶ・受け取る=選び方/購入はどこで?/ベビーとヤング・アダルト/冬に迎える
  • 迎えたあと=検疫/持ち方/健康チェック/病院の探し方/脱走したとき/ダニ
  • 制度=繁殖を始める前に(業種と登録)/賃貸で飼える?/子どもがいる家庭で飼う
  • 餌=餌のサイズと頻度/拒食の原因と対策15選/拒食中にやりがちな対応3選/冷凍餌は姉妹店 Lil Rats
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日々100以上のヘビが食べている安心、安全の冷凍ラット・冷凍マウスです。食いつきもご好評いただいております。

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Lil Ballsは、ボールパイソンブリーダーが運営するボールパイソン専門店です。

世界最高峰のUS有名ブリーター(KINOVA等)から親子個体を購入し繁殖を行なっております。

最高の遺伝子を持ったボールパイソンの親を育て上げ、最高のボールパイソンを生み出すことを目的に日々精進しています。

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