シェルターは「入るなら置く」程度に思われがちですが、ボールパイソンでは置くかどうかではなく、いくつ置くかが本題です。1つしかないと、隠れることと適温でいることのどちらかを捨てさせることになります。
この記事では、数と置き場所、大きさの決め方、湿ったシェルターの使いどき、素材と形、そして隠れっぱなしをどう見るかを順に整理します。
必要かどうかではなく、いくつ要るか
「シェルターは必要ですか」という質問には、必要ですと答えます。ただし本当に決めるべきなのは数と置き場所のほうです。
ボールパイソンは野生では動物の巣穴に潜む種で、広く開けた何もない空間ではストレスを受けます。RSPCA はこれを踏まえて、置き方まで具体的に書いています。
引用(RSPCA「Royal python」):ケージの両端に複数の隠れ家を置き、安心感を犠牲にせずに温度を選べるようにすること。
ここが要点です。シェルターが片側にしかないと、ヘビは「安心」と「適温」のどちらかを諦めることになります。暖かい側にしか隠れ家がなければ、涼みたいときに身を隠せません。
最低2つ、暖かい側と涼しい側に
実務上の最小構成は2つです。ホット側に1つ、クール側に1つ。
温度勾配を作る意味は、ヘビに体温を選ばせることにあります。当店の適温の記事で書いたとおり、ホット側とクール側を行き来しているなら勾配が機能している証拠です。その行き来をシェルターが妨げないようにするのが、2つ置く理由です。
ケージが広ければ3つ目を中間に置いてもかまいません。多すぎて困ることはありません。
大きさは「体が内壁に触れる」くらい
大きければよい、ではありません。RSPCA は上限も示しています。
引用(RSPCA「Hides」):ヘビについては、中に入れる大きさであること。ただし、とぐろを巻いたときに体が隠れ家の内側に触れられないほど大きくはないこと。
狭いところに体を密着させることで落ち着く動物なので、広すぎる隠れ家は隠れ家として働きません。とぐろを巻いた状態がぴったり収まるくらいが目安です。
成長すると合わなくなります
ベビーで買ったシェルターは、成体には小さすぎます。逆に成体用を幼体に与えると、広すぎて落ち着きません。体のサイズに合わせて買い替える消耗品だと考えてください。入口から体が入らない、あるいは中でとぐろを巻けない、が交換の合図です。
湿ったシェルターの使いどき
脱皮が近いときに効くのが湿ったシェルターです。
引用(RSPCA「Hides」):多くの爬虫類は、野生で見つけるような湿った隠れ穴を再現した「湿った隠れ家」があると役に立つ。脱皮を助けることがある。同じページは、中に湿らせたミズゴケのような水分を保つ素材を入れ、毎日きれいな水を吹きかけることを勧めています。
当店の脱皮不全の記事でも、湿らせたミズゴケやキッチンペーパーを入れたシェルターを置く方法を案内しています。
ケージ全体の湿度を上げるより、局所的に湿った場所を作るほうが管理しやすいのが利点です。全体を湿らせると床材が傷み、換気を絞りたくなる方向に進みます。
湿ったシェルターは常設にしない
入れっぱなしにすると中でカビが生えます。脱皮の兆候が出てから入れ、終わったら出すのが扱いやすい運用です。常設するなら、中身を頻繁に交換してください。
素材と形
- プラスチック製 … 洗える。丸ごと消毒できるので衛生的。軽いので動かされることがあります
- 陶器・樹脂の岩型 … 重くて安定し、見た目もよい。洗いにくい形のものがあるので、内側に手が入るかを見てください
- コルクバーク … 自然な見た目。多孔質なので汚れると洗いきれず、傷んだら交換する消耗品です
- 植木鉢を割ったもの・タッパー … 十分に機能します。入口の縁が鋭くないかだけ確認してください
出入口は1か所で足ります。むしろ開口が多いと落ち着きにくくなります。
置き方の注意
- パネルヒーターの真上に据えるときは、熱がこもらないか確認する。ヒーター側の説明書に、上に物を置くことへの注意がないかを見てください
- 温度計を隠さない。シェルターの下に入れると、そこだけの温度を測ることになります
- 倒れない置き方にする。ヘビが下に潜り込んで持ち上げることがあります。重いものほど、下敷きになったときの危険が大きくなります
- 掃除のときに位置を戻す。暖かい側と涼しい側という役割があるので、入れ替わると意味が変わります
ずっと隠れていても異常ではない
シェルターを入れると、ほとんど出てこなくなることがあります。これ自体は正常です。夜行性で、日中は巣穴に潜んでいる種だからです。
見るべきは、隠れているかどうかではなくどちら側に隠れているかです。いつも同じ側から動かないなら、温度を疑ってください。当店の適温の記事に書いたとおり、片側に張り付いているのは設定を見直すサインです。
まとめ
- シェルターは必要。決めるのは数と置き場所
- RSPCA はケージの両端に複数と明記。安心と適温を両立させるため
- 最小構成はホット側1つ・クール側1つ
- 大きさはとぐろを巻いて内壁に触れるくらい。広すぎると隠れ家にならない
- 成長に合わせて買い替える消耗品
- 脱皮前は湿ったシェルター。常設せず、使うときだけ入れる
- 素材は洗いやすさで選ぶ。出入口は1か所で足りる
- ずっと隠れているのは正常。見るのは「どちら側にいるか」

