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ボールパイソンのシェルターは必要?|数と置き場所・大きさの決め方・湿ったシェルターの使いどき

eyecatch

シェルターは「必要か、不要か」で語られがちですが、専門機関の飼育指針を読むと線は別のところに引かれています。市販のシェルターでなくてかまわない。ただし身を隠して休める場所そのものは用意する——この2つです。

この記事では、何が必要とされているのか、専門機関が勧める数と置き場所、大きさの決め方、湿ったシェルターの使いどき、素材と形、そして隠れっぱなしをどう見るかを順に整理します。推奨は両端に2つですが、実際にそうしている飼育者は少ないことも、当店が置いていない理由と一緒に書きます。

目次

  • 必要なのは「身を隠して休める場所」
  • 専門機関は「両端に複数」を勧めている
  • 大きさは「体が内壁に触れる」くらい
  • 湿ったシェルターの使いどき
  • 素材と形
  • 置き方の注意
  • ずっと隠れていても異常ではない
  • まとめ

必要なのは「身を隠して休める場所」

「シェルターは必要ですか」は、たいてい「専用の容器を買う必要があるか」という意味で聞かれます。そこは市販品でなくてかまいません。ロンドン大学の獣医大学(Royal Veterinary College)が、付属動物病院のエキゾチック科として出している飼育指導プリントは、隠れ家に使えるものとして人工植物・段ボール箱・植木鉢・丸太を市販のシェルターと並べて挙げています。

ただし身を隠して休める場所そのものは、別に要るものとして書かれています。

引用(Royal Veterinary College「Royal Python Care」・筆者訳):隠れ家は、ある程度の安心感を与えるために必要である。(中略)ケージの暖かい側と涼しい側の両方に置くこと。

野生では動物の巣穴に潜む種で、広く開けた、遮蔽の無い空間ではストレスを受けます——RSPCA も「large, open, bare spaces」と書いています。明るすぎることも餌を食べない理由になり、当店の拒食の原因と対策15選でも挙げました。

当店はシェルターを置いていません

当店はラックで管理していて、ボールパイソンの部屋は生活環境から隔離してあります。常に静かで比較的暗く、人が入るのは世話をするときだけです。この環境で、個別のシェルターは置いていません。

ケージの素材で差が出ることは、同じ RVC の指針も書いています。木製や繊維強化プラスチック製のケージは、ある程度の視覚的な安心感(visual security)を与えるので理想的だ、という書き方です。周りから見られていない、外が見通せないという状態そのものが落ち着きにつながる、という考え方です。引き出し自体が不透明で天井が低く、中が暗いので、当店はそれで「身を隠して休める」は満たせていると考えています。

ただしこれは当店の判断で、資料の裏づけがあるわけではありません。RVC も RSPCA も、視覚的な安心感とは別に隠れ家を置くよう書いています。暗いこと・見通せないことが隠れ家の代わりになると明記した資料は、探した範囲では見つかりませんでした。人の出入りがある明るい部屋のガラスケージなら、全身を隠せる場所をケージの中に用意してください。

専門機関は「両端に複数」を勧めている

数と置き場所については、英国の動物福祉団体 RSPCA(王立動物虐待防止協会。1824年設立で、種別の飼育指針を公開しています)も前節の RVC と同じことを書いています。

引用(RSPCA「Royal python」・筆者訳):ケージの両端に複数の隠れ家を置き、安心感を犠牲にせずに温度を選べるようにすること。

理屈は温度勾配です。勾配を作る意味はヘビに体温を選ばせることにあり、当店の適温の記事で書いたとおり、ホット側とクール側を行き来しているなら勾配が機能している証拠です。隠れられる場所が片側にしかないと、反対側の温度を選ぶにはそこから出ることになります。暖かい側にしか隠れ家がなければ、涼みたいときに身を隠せません。

実際に2つ置いている人は少ない

先に現実を書いておきます。両端に2つ置いている飼育者は、当店の見ている範囲ではほとんどいません。1つだけの方、置かずにケージごと暗くしている方のほうが多く、当店も置いていません。よその飼育環境を見て「書いてあることと違う」と思うはずなので、隠さずに書きます。

ただし、少ないことは「1つで足りる」根拠にはなりません。ケージが暗いことだけを理由に、片側しか隠れられないという偏りが消えるとも言えません。この記事は、両機関が揃って勧めている形として2つを勧めます。暖かい側と涼しい側の両方に置く、という点は性質の違う2つの指針で一致しています。

そのうえでハードルは下げられます。市販のシェルターを2個買えという話ではありません。要は暖かい側でも涼しい側でも身を隠せることなので、植木鉢やタッパーでも用は足ります(後述)。当店の飼育方法の記事で「必ずしも必要というわけではない」と書いてきたのは、この意味です。数の上限は気にしなくてかまいません。広いケージなら、中間に3つ目を置いてもかまいません。

大きさは「体が内壁に触れる」くらい

大きければよい、ではありません。RSPCA は上限も示しています。

引用(RSPCA「Hides」):ヘビについては、中に入れる大きさであること。ただし、とぐろを巻いたときに体が隠れ家の内側に触れられないほど大きくはないこと。

狭いところに体を密着させることで落ち着く動物なので、広すぎる隠れ家は隠れ家として働きません。とぐろを巻いた状態がぴったり収まるくらいが目安です。

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成長すると合わなくなります

ベビーで買ったシェルターは、成体には小さすぎます。逆に成体用を幼体に与えると、広すぎて落ち着きません。体のサイズに合わせて買い替える消耗品だと考えてください。入口から体が入らない、あるいは中でとぐろを巻けない、が交換の合図です。

湿ったシェルターの使いどき

脱皮が近いときに効くのが湿ったシェルターです。

引用(RSPCA「Hides」):多くの爬虫類は、野生で見つけるような湿った隠れ穴を再現した「湿った隠れ家」があると役に立つ。脱皮を助けることがある。同じページは、中に湿らせたミズゴケのような水分を保つ素材を入れ、毎日きれいな水を吹きかけることを勧めています。

当店の脱皮不全の記事でも、湿らせたミズゴケやキッチンペーパーを入れたシェルターを置く方法を案内しています。

ケージ全体の湿度を上げるより、局所的に湿った場所を作るほうが管理しやすいのが利点です。全体を湿らせると床材が傷み、換気を絞りたくなる方向に進みます。

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湿ったシェルターは常設にしない

入れっぱなしにすると中でカビが生えます。脱皮の兆候が出てから入れ、終わったら出すのが扱いやすい運用です。常設するなら、中身を頻繁に交換してください。

素材と形

  • プラスチック製 … 洗える。丸ごと消毒できるので衛生的。軽いので動かされることがあります
  • 陶器・樹脂の岩型 … 重くて安定し、見た目もよい。洗いにくい形のものがあるので、内側に手が入るかを見てください
  • コルクバーク … 自然な見た目。多孔質なので汚れると洗いきれず、傷んだら交換する消耗品です
  • 植木鉢を割ったもの・タッパー … 十分に機能します。入口の縁が鋭くないかだけ確認してください

出入口は1か所で足ります。むしろ開口が多いと落ち着きにくくなります。

500g〜1kg の個体に勧めているもの

前節のとおり当店のラックにシェルターは常設していませんが、この体重帯でとくに餌を食べなくなった個体に勧めているのは、入口以外が閉じたドーム型のウェットシェルターです(MUYYIKA 爬虫類ウェットシェルター(M)/約 24×17.5×5.5cm)。高さが 5.5cm しかないのが選ぶ理由で、この体重帯の個体がとぐろを巻くと背中が天井に触れる——前節の「体が内壁に触れるくらい」をそのまま満たします。

同じものは楽天にもあります。


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拒食でまず疑うのは温度と湿度で、シェルターはその次です。ただ隠れ家が広すぎて落ち着けていない個体は実際にいるので、温度を詰めても動かないときに見直す先として挙げておきます。原因の切り分けは拒食の原因と対策15選と拒食中についやりがちな対応3選に書いてあります。

サイズは体重ではなく実測で合わせてください。入口から体が入らない、中でとぐろを巻けない、のどちらかが出たら体に合っていません。

置き方の注意

  • パネルヒーターの真上に据えるときは、熱がこもらないか確認する。ヒーター側の説明書に、上に物を置くことへの注意がないかを見てください
  • 温度計を隠さない。シェルターの下に入れると、そこだけの温度を測ることになります
  • 倒れない置き方にする。ヘビが下に潜り込んで持ち上げることがあります。重いものほど、下敷きになったときの危険が大きくなります
  • 掃除のときに位置を戻す。両端に置いているなら暖かい側・涼しい側という役割があるので、入れ替わると意味が変わります

ずっと隠れていても異常ではない

シェルターを入れると、ほとんど出てこなくなることがあります。これ自体は正常です。夜行性で、日中は巣穴に潜んでいる種だからです。

見るべきは、隠れているかどうかではなくどちら側に隠れているかです。いつも同じ側から動かないなら、温度を疑ってください。当店の適温の記事に書いたとおり、片側に張り付いているのは設定を見直すサインです。

まとめ

  • 市販のシェルターでなくてよい。RVC は人工植物・段ボール箱・植木鉢・丸太も隠れ家として挙げている
  • 身を隠して休める場所そのものは別に要る。RSPCA・RVC はどちらも暖かい側と涼しい側の両方に置くよう勧めている
  • 実務上の構成例はホット側1つ・クール側1つ。この記事もこれを勧める
  • ただし実際に2つ置いている飼育者は少ない。当店もラック管理で置いていない。少ないことは「1つで足りる」根拠にはならない
  • 大きさはとぐろを巻いて内壁に触れるくらい。広すぎると隠れ家にならない
  • 成長に合わせて買い替える消耗品
  • 脱皮前は湿ったシェルター。常設せず、使うときだけ入れる
  • 素材は洗いやすさで選ぶ。出入口は1か所で足りる
  • ずっと隠れているのは正常。見るのは「どちら側にいるか」
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最高の遺伝子を持ったボールパイソンの親を育て上げ、最高のボールパイソンを生み出すことを目的に日々精進しています。

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