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モルフ

ボールパイソンのピンストライプ|見た目で決まらない「1つか2つか」は、8匹の内訳から読めます

eyecatch

ピンストライプのメスがいます。見た目は、まぎれもなくピンストライプです。では、この個体はピンストライプの遺伝子を1つ持っているのでしょうか、それとも2つでしょうか。

見ても分かりません。ピンストライプは MorphMarket の Morphpedia でも World of Ball Pythons でも「Dominant(顕性)」に分類されていて、1つでも2つでも見た目がほとんど変わらない型のモルフです。パステルやモハベのように「スーパー体」で見分ける、という手が使えません。

当店の交配記録に、その答えが出ている1件があります。母だけがピンストライプで、父の登録名には入っていない組み合わせ。8卵すべてが孵ったクラッチです。受け継いだのは3匹でした。この記事は、そのクラッチを軸に、ピンストライプという表現の出どころ・見分け方・名前の読み方・そして「遺伝子検査は無いのか」までをたどったものです。

目次

  • 野生で見つかったのは1匹、と書かれています
  • 黒が「地」なのか「線」なのか、資料で書き方が逆です
  • Morphpedia が「顕性」に置いているのは、231項目のうち26件です
    • 顕性だと、1つ持っているのか2つ持っているのかが、見た目で分かりません
    • 遺伝子検査は「無い」のではなく、提供元で違います
  • 当店の8卵は全部孵って、ピンストライプは3匹でした
    • 受け継がなかった子が出た時点で、母の持ち方は決まります
    • 受け継いだ3匹の名前に、「ピンストライプ」は入っていません
    • それでも「het ピンストライプ」という表記は出てきません
  • 「ストライプ」が付く名前は、4つが別のモルフです
  • 迎えるとき、掛けるときに見ること
  • まとめ
  • 参考にした資料

野生で見つかったのは1匹、と書かれています

ピンストライプは、背中に筋が通り、その両脇に細い黒い線が下りるパターンのモルフです。当店のコンボ一覧232件のうち35件にこの形質が入っていて、素材としての出番は多いほうです。出どころについて図鑑サイトが書いていることは、多くありません。

  • 作出者と年MorphMarket の Morphpedia は「First Produced By」に BHB Reptiles、「First Produced In」に 2001。本文(History)は「Brian と Lori Barczyk によって最初に作出された」。World of Ball Pythons は「First Produced By: Brian Barczyk, Bhb Reptiles/Year: 2001」

  • 最初に人前に出た年Morphpedia の本文に「最初の1匹は1999年ごろ、オーランドのエキスポで展示された」

  • 野生で見つかった数「今のところ(as of yet)、野生で見つかったピンストライプは1匹だけで、ホビーにいるピンストライプはすべてこの1匹の子孫ということになる」

  • 別名Morphpedia は Pin、World of Ball Pythons は Pin, Pinstrip。「〜ピン」で終わるコンボ名が多いのは、この略し方が定着しているからです

この2サイトを、独立した2件とは数えていません。Morphpedia のページで、作出年に付く脚注の飛び先が World of Ball Pythons の同じモルフのページだからです。作出者と年については、記載が一致しているところまでが確かめられた範囲になります。

「野生で1匹」は、さらに弱い記述です。当店がたどれた範囲では Morphpedia にしかなく、いつ時点の、どこまでを調べた話なのかが書かれていません。このページの最終更新は 2022年5月16日です。当店の図鑑のピンストライプのページにも同じ趣旨の記述がありますが、このページの出典欄は MorphMarket と書籍1冊(Python regius: Atlas of Colour Morphs)が並んでいるだけで、どちらに由来する記述かはページから分かりません。当店はこの書籍に当たっていません(2026年11月5日閲覧)。

黒が「地」なのか「線」なのか、資料で書き方が逆です

見分けの手がかりを探して資料を並べると、同じ見た目をちょうど裏返しに説明していることに気づきます。

  • Morphpedia(胴)「ふつうは(usually)、首から尾までを貫く、コントラストの強い太い背条に支配されていて、その両側に濃褐色/黒の『ピンストライプ』が下りる。体側は、黄褐色から金色の地の上に『水滴』の形をした線で模様が付く」

  • 当店の図鑑(胴)「体の基調となる色は、黒色をしており、その黒いの部分が細い線を示します」——黒のほうを地と呼んでいます

  • World of Ball Pythons「背に2本のはっきりした線を持つ、模様の減った(reduced)モルフ。エイリアンヘッドと“炎”(flames)を完全に欠き、2本の線はしばしばまっすぐな線で腹とつながる」

どちらが正しいという話ではありません。ノーマルの黒い部分が細く残ったと読んでも、金色の地に黒い線が乗ったと読んでも、指しているのは同じ鱗です。ノーマルの記事でも、明るい斑(エイリアンヘッド)と、それを囲む黒〜濃褐色(パズル)のどちらを図と見るかで印象が変わる、と書きました。ピンストライプはその反転が極端に出ます。

ただし「エイリアンヘッドが無い」だけでは決まりません。体側の明色の抜けが消えるモルフは、ほかにもあります。当店の図鑑は、シャンパンを「サイド側はほとんど消失し、うっすらとエイリアン柄の跡が黒く見える程度」、オレンジドリームを「サイドのエイリアン柄が消失し、縞模様のような表現」と書いています(どちらも単独の表現としての記述です)。World of Ball Pythons の記述も、「エイリアンヘッドと“炎”が無い」と「背に2本のはっきりした線が通り、しばしばまっすぐに腹とつながる」が並んだものです。片方だけでは、他のモルフと分かれません。

なお“炎”(flames)については、当店の資料のあいだで食い違っています。World of Ball Pythons は「完全に欠く」と書き、当店の用語集のピンストライプの項は「明るい色のフレームも持つ」と書いています。決着していないので、この記事では見分けの根拠に使いません。

頭について Morphpedia はこう書いています。「ほとんどチョコレートのような濃い色の冠を頭頂に載せ、それが首に向かって薄れていく傾向がある(tends to fade)。ふつうは冠の中心に模様の点を持ち、目を貫く鋸歯状の筋が入る」。当店の図鑑は「体色に比べ濃い茶色」とだけ書いていて、2つの資料が一致するのは「頭が胴より暗い」の1点です。首に向かって抜けることは Morphpedia にしかなく、しかも「傾向がある」という書き方です。

Morphpedia が「顕性」に置いているのは、231項目のうち26件です

ピンストライプのページで、見た目の説明より先に効いてくるのが「Type: Dominant」の1行です。World of Ball Pythons も「Genetics: Dominant」。2つのサイトが、同じ欄に同じ語を置いています。

これがどのくらい珍しいのかは、同じサイトの中で数えられます。Morphpedia はボールパイソンの形質を231項目載せていて、231項目に現れる遺伝様式の値は Recessive / Incomplete Dominant / Dominant / Polygenic / Other / Locality の6種類です。欄ごとに数えると、こうなりました。

MorphMarketのMorphpediaがボールパイソンの形質231項目を遺伝様式の欄で分けた内訳を示した図。不完全優性151件、潜性42件、顕性26件

151項目が Incomplete Dominant(不完全優性)です。パステル、レッサー、ブラックパステル、スポットノーズ——名前を聞いたことのあるモルフのほとんどがここに入ります。Dominant(顕性)は26件。当店の図鑑に項目のあるモルフでここに入るのは、ピンストライプ・レオパード・コンフュージョンの3つです。

この欄は、実験で確かめられた遺伝様式とは限りません。数えたのは Morphpedia の形質一覧(231件)の欄の値だけです。欄が「Other」の7件にはノーマルやパラドックスのように遺伝様式を問う対象でないものが混ざり、「Locality」の1件は産地です(2026年11月5日取得)。

欄だけを見ると取り違える実例が、当店の図鑑との差に出ています。当店の図鑑はストレンジャーを「Dominant」に置き、Morphpedia の同じモルフのページは欄が「Incomplete Dominant」。ところが Morphpedia の本文には「疑われている(suspected)」「決着には繁殖での確認が要る」という留保が残り、当店の図鑑のほうにも「スーパー体は未証明」という趣旨の記述があります。欄の語は、実験の結論ではありません。掛け合わせを設計するときは、欄ではなく本文まで読んでください(コンプレックスの扱いは、どちらもマホガニーで一致しています)。

顕性だと、1つ持っているのか2つ持っているのかが、見た目で分かりません

ホビーで「不完全優性」と呼ばれる型は、遺伝子を2つそろえると別の表現になります。パステルが2つそろえばスーパーパステル、モハベが2つそろえばブルーアイリューシスティック。BELコンプレックスの記事で扱っているのは、この性質です。

ピンストライプはそこが違います。当店のモルフとは?の記事は、顕性をこう説明しています。

「遺伝子を1つ持っていれば見た目に現れるタイプです。代表例はピンストライプなど。遺伝子を2つ持っても見た目はほとんど変わりません」

つまりピンストライプの個体を目の前にしても、その1匹が遺伝子を1つ持っているのか2つ持っているのかは、見た目からは絞り込めません。(当店の記事の原文は「ほとんど変わりません」で、「まったく同じ」とまでは書いていません。それでも、販売ページの写真から読み取れる差ではありません。)不完全優性のモルフなら「スーパー体かどうか」を見た目で絞れるのに、顕性ではその手がかりが消えます。

「スーパーピンストライプは存在しない」とまでは書けません。遺伝子を2つ持つ個体は理屈のうえでは生まれます。当店が確かめられたのは、Morphpedia にも World of Ball Pythons にもピンストライプのスーパー体についての記載が無いことと、両サイトがこのモルフを Incomplete Dominant ではなく Dominant の欄に置いていることの2つだけです。この記事で「記載が無い」と書いているものは、すべて「存在しない」ではありません。

遺伝子検査は「無い」のではなく、提供元で違います

見た目で分からないなら検査で、と考えたくなります。World of Ball Pythons には、モルフごとに「Genetic Tests Available」という欄があります。ピンストライプのページの中身は1行でした。

「残念ながら、このモルフについて当サイトでは利用できる検査がまだありません」(原文は “Unfortunately we don't have test available for this morph yet”。World of Ball Pythons・Pinstripe/2026年11月5日閲覧)

主語は「we」で、サイト側のことを言っています。World of Ball Pythons を運営する ProHerper の検査一覧を見ると、ボールパイソンのモルフ検査は54項目(うち2項目は「coming soon」)あって、そこにピンストライプはありません。ストレンジャーやジェネティックストライプは入っています。記述と一覧は、たしかに合っています。

別の提供元を見ると、扱いが違います。

  • Cltch が案内する Rare Genetics, Inc.(米国)の一覧管理アプリ Cltch の検査案内が、脱皮殻を送る検査を Standard 23項目と RGI Exclusive 36項目に分けて載せています。ピンストライプは RGI Exclusive のほうに入っています(レオパード・パズル・ジェネティックストライプ・レッドストライプも同じ欄)

  • 何が分かると書かれているかどちらの欄にも同じ説明が付いています。「その個体が、特定のモルフについてヘテロ接合か、ホモ接合か、陰性かを判定する」

つまり「ピンストライプのホモとヘテロを調べる手段は無い」とは書けません。見た目で決められないことは変わりませんが、検査の有無は、どこの一覧を見るかで変わります。

当店はこの検査を使ったことがありません。確かめたのは「2026年11月5日時点で、Cltch の案内ページにピンストライプが載っていること」だけです。受付の状況・精度・対象にしている変異・日本から出せるかどうか・後述する2023年のクラッチの当時に提供されていたかどうかは、確かめられていません。検査を使うなら、提供元に直接その範囲を聞いてください。

当店の8卵は全部孵って、ピンストライプは3匹でした

検査のほかに手がかりになるのは、生まれた子の内訳です。当店が公開している交配記録38件のうち、親のどちらかがピンストライプなのは2件で、そのうち1件は子の8匹すべてが個体ページから親クラッチにリンクしていて、内訳をそのまま追えます。

  • クラッチLCB20230601007。2023年6月1日産卵、8月5日孵化。8卵のうち8匹が孵っています

  • 母Black Pastel Pastel Pinstripe(ブラックパステル+パステル+ピンストライプ)。見た目にピンストライプが出ている個体です

  • 父Lesser Leopard Clown。登録名にピンストライプは入っていません

孵った8匹は、すべて個体ページがあります。名前を並べて、ピンストライプが入っているかどうかで分けると、こうなりました。

母だけがピンストライプだった当店のクラッチLCB20230601007の8匹を、ピンストライプを受け継いだ3匹と受け継がなかった5匹に分けて並べた図

ピンストライプを受け継いだのは、8匹のうち3匹です。LIL2023029(Leopard Lemon Blast Het Clown)と、LIL2023032・LIL2023033(どちらも Black Pewter Kingpin Het Clown)。残る5匹の名前には、ピンストライプを含む表記がありません。

受け継がなかった子が出た時点で、母の持ち方は決まります

母はピンストライプを1つ持っていたのか、2つ持っていたのか。

母が2つ持っていたなら、8匹全員がピンストライプになります。どの卵も、母から必ず1つもらうことになるからです。父が何を持っていようと、ここは変わりません。実際は3匹で、受け継がなかった子が5匹います。だから母は1つしか持っていませんでした。

決め手は「3匹」という数ではありません。受け継がなかった子が1匹でも出れば、その時点で決まります。3匹という内訳は、別のことを教えてくれる数字です(下の囲み)。

父についても、同じ向きの理屈が働きます。ピンストライプは顕性なので、持っていれば父自身に出ます。潜性のように、見た目はノーマルのまま隠して持つことはありません。ただしこれは、父の表現を正しく見分けられていればの話です。

同じ読み方は、ノーマルの記事でレオパードとバナナについて書きました(「伝わらなかった子がいる、ということ自体が情報です」)。違うのは、あちらが個体ページだけを並べたのに対し、こちらは親クラッチの記録に8匹すべてがひも付いていることです。

前提は2つです。親子の対応が記録のとおりであること、そして親子10匹について、ピンストライプを持っているかどうかを正しく見分けられていること。後者には、別の遺伝子が表現を覆い隠していないことも含みます。登録名は見た目で付けたもので、遺伝子検査の結果ではありません。別の形質では、外見による申告と遺伝子型がずれた報告があります——当店のイエローベリーの記事で引いた研究では、イエローベリーのヘテロとして申告された130匹のうち約4分の1が申告どおりではありませんでした。ピンストライプで同じ割合がずれる、という意味ではありません。確かめられていないだけです。

クラッチの全数は、別々の2つが一致しているので確かめられます。交配記録の卵数が8で、親クラッチにひも付く個体ページがちょうど8件(LIL2023026〜033)。ただし同じ表の孵化数の欄はあてになりません——別のクラッチ(LCB20230530006)は孵化数0と記録されているのに、ひも付く個体ページが5件あります。

3匹が教えてくれるのは、「期待値の4匹になるとは限らない」ということのほうです。母が1つだけ持ち、父が持っていないなら、各個体が独立に2分の1で受け継ぐと考えられます。このモデルで8匹中ちょうど3匹になる確率は 56/256=約21.9%、3匹以下は 93/256=約36.3%。いちばん出やすい4匹でも 70/256=約27.3% しかありません。「半分出る」はクラッチ単位の約束ではない、という話はモルフ計算機の使い方で別の例を挙げています。

もう1件のクラッチは、内訳を数えていません。交配記録には Lil25006(2025年5月5日産卵・7月11日孵化・9卵すべて孵化。Chocolate Spotnose Clown ♂ × Chocolate Pastel Pinstripe ♀)もあります。ただし2025年の個体ページには、親クラッチへのリンクが入っていません。どの個体がこのクラッチから出たのかを公開データだけでは決められないので、この記事では数に入れていません。

受け継いだ3匹の名前に、「ピンストライプ」は入っていません

もう一度、3匹の名前を見てください。Leopard Lemon Blast と Black Pewter Kingpin。どちらにも「Pinstripe」の文字がありません。コンボモルフに別の愛称が付いているからです。当店のモルフ図鑑は「コンボ」に切り替えると、愛称と構成形質を並べた一覧を232件出します。

レモンブラストやキングピンなど、名前に「ピンストライプ」が出てこないコンボモルフの構成形質を並べた図

Morphpedia のピンストライプのページにも、同じ分解で Lemon Blast(Pastel + Pinstripe)・Kingpin(Lesser + Pinstripe)・Black Pewter Blast(Black Pastel + Pastel + Pinstripe)が並んでいます。母の「Black Pastel Pastel Pinstripe」は、愛称でいえば Black Pewter Blast です。

当店の個体データ360件(卸売向けの表示設定のものを含む全件)の登録名を、このコンボ一覧と略称「Pin」で引くと、ピンストライプが読み取れるのは7件でした。語の出方で3通りに分かれます。

  • 「Pinstripe」と書いてある 3件LIL2025036・LIL2025041(Pastel Pinstripe SN Het Clown)/LIL2025038(Pinstripe SN Het Clown)

  • コンボの愛称だけ 3件LIL2023032・LIL2023033(Black Pewter Kingpin Het Clown)/LIL2023029(Leopard Lemon Blast Het Clown)

  • 略称「Pin」だけ 1件ID 39(Butter Bee Pin DG。卸売向けの表示設定なので、一般の個体ページ一覧には出ません)

これは「登録名から読み取れる件数」で、持っている個体の数ではありません。愛称が遺伝子名を隠すこと自体はピンストライプに限らず、初心者におすすめのモルフの記事でスパイダーについて同じ数え方をしています。

それでも「het ピンストライプ」という表記は出てきません

混ざりやすいところなので、分けておきます。上の前提のもとでは、このクラッチで受け継いだ3匹はピンストライプのヘテロ接合体です。母から1つもらい、父からはもらっていないことになるからです。

ところが、当店の360件の登録名に「het ピンストライプ」という書き方は1つも出てきません。これは遺伝の話ではなく、ホビーの表記の慣習です。Morphpedia 自身が、ヘテロレッドアザンティックのページでこう説明しています。

「ホビーでは『het』はヘテロ接合の略として使われるが、ふつうは潜性形質の、見た目に出ない1遺伝子の状態を指している」(Morphpedia・Het Red Axanthic/2026年11月5日閲覧)

つまり「het ○○」は、見た目に出ないから名前で断る、という販売上の表記です。顕性のモルフは持っていれば見た目に出るので、販売名ではふつう「het ピンストライプ」とは書きません。ヘテロ接合体がいないのではなく、名前にその欄が立たない、ということです。接合の状態そのものは、掛け合わせの結果を決めます——名前に出ないことと、どうでもいいことは別です。(遺伝子型を説明する文脈では「Het Pinstripe」という書き方もされます。MorphMarket の遺伝の解説がその例です。)

当店の360件で「het」が付いていた形質を並べると、慣習のほうがはっきり出ます。

クラウン・デザートゴースト・ラベンダーアルビノ・パイボールド・ハイポ(ゴースト)・TSKアザンティック・パズル・ウルトラメル・モンスーン・モナーク・アムール。

このうちアムールを除く10件は、すべて Morphpedia が Recessive(潜性)の欄に置いているモルフです(アムールは Morphpedia に項目がなく、当店の図鑑が潜性・クラウンコンプレックスとしています)。

「Het Red Axanthic」は、ヘテロ接合型の呼び名がモルフ名として定着した例です。当店にも1匹います。Morphpedia は不完全優性・8ボールコンプレックスに置いたうえで、「技術的には Het Red Axanthic がそのヘテロ接合型で、Red Axanthic がホモ接合型だが、略語の het はほぼ潜性形質について語るときにしか使われない」と書いています。名前の中の het を、潜性の保因だと読まないでください。

同じクラッチに、逆の例もあります。8匹全員に「Het Clown」が付いています。父がクラウン(潜性)だったので、子は全員が1つ受け取っているのに、1匹も見た目に出ていません。クラウンを掛けたときに何が起きるかは、クラウンの記事でもう1件のクラッチを使って書いています。

「ストライプ」が付く名前は、4つが別のモルフです

当店の図鑑に、名前に「ストライプ」を含むモルフが4つあります。似ているのは名前だけで、遺伝様式は3通りに分かれます。

  • ピンストライプ顕性。/morph/59

  • ジェネティックストライプ潜性。/morph/21。Morphpedia も Recessive

  • トライストライプ(T-ストライプ)潜性。/morph/27。Morphpedia も Recessive

  • レッドストライプ不完全優性。/morph/170。Morphpedia も Incomplete Dominant

掛け合わせの設計は、この3通りでまったく違います。潜性の2つは、見た目に出ていない個体が het として存在します(だから「het ジェネティックストライプ」という表記はありえます)。不完全優性のレッドストライプは、2つそろえば別の表現になります。そして顕性のピンストライプだけが、どちらでもありません。

「スーパーストライプ」は、ピンストライプのスーパー体ではありません。当店のコンボ一覧では スペクター + イエローベリー で、この2つは当店の図鑑でもMorphpediaでも同じスーパーストライプコンプレックス(アスファルト・グラベルを含む)に入っています。スペクターとイエローベリーを1つずつ持った組み合わせの名前で、ピンストライプとは別の話です。図鑑のスペクターのページの別名欄も「Superstripe Maker」になっています。

迎えるとき、掛けるときに見ること

  • 愛称ではなく構成形質で引くLemon Blast・Kingpin・Jigsaw・Spinner——どれもピンストライプが入っています。分解は当店のコンボ一覧と Morphpedia の形質ページが載せています(初心者モルフの記事にも同じ注意があります)

  • 「片親がピンストライプなら半分」には条件が付く半分になるのはその親がヘテロで、もう片方が持っていないときです。親がホモなら子は全部ピンストライプになり、両親ともヘテロなら4分の3。相手の遺伝子型が分からないうちは、割合も決まりません

  • 「ホモ」と書かれていたら、何で確かめたのかを聞く見た目では決まりません。根拠になりうるのは、遺伝子検査か、掛けた結果のどちらかです。掛けた結果で言うなら、匹数だけでは足りません——1つしか持っていない親と持っていない親の組み合わせでも、8匹すべてがピンストライプになることが 256分の1 で起きます。相手が何だったのか、何匹出たのかまで聞いてください

  • 見分けは2つを並べて見る体側にエイリアンヘッド(明色の抜け)が並んでいないことと、背に2本のはっきりした線が通り、しばしばまっすぐに腹とつながること。前者だけでは分かれません——当店の図鑑は、シャンパンとオレンジドリームにも同じこと(サイドのエイリアン柄が消失する)を書いています。2つそろえば確定、というものでもありません

健康上の注意については、当店は「書かれていない」としか言えません。Morphpedia のピンストライプのページは Issues(問題点)の欄が空ですが、231項目のうち Issues が埋まっているのは21件だけです(初心者モルフの記事で数えました)。ピンストライプの神経症状や骨格の異常を扱った査読を経た資料にも、当店は行き着けていません。

まとめ

  • 出どころ2サイトとも BHB・2001年で一致(Morphpedia の本文だけが「Brian と Lori Barczyk」と2人を挙げています)。ただし Morphpedia の脚注が World of Ball Pythons を指しているので、独立した2件とは数えていません。「野生で見つかったのは1匹」は Morphpedia だけの記述で、いつ時点の話かが書かれていません

  • 見分けエイリアンヘッドが無いことと背に2本の線が通ることを並べて見ます。どちらも手がかりで、2つそろっても確定ではありません(“炎”は資料が割れているので使いません)

  • 遺伝様式2サイトとも Dominant(顕性)。Morphpedia の231項目のうち、この欄に入るのは26件だけです。ただし欄の語は、実験の結論とは限りません

  • 見た目で決まらないことホモかヘテロか。World of Ball Pythons は「当サイトでは検査が無い」と書いていますが、Cltch が案内する Rare Genetics, Inc. の一覧にはピンストライプが入っています。「調べる手段が無い」ではありません

  • 当店の記録母だけがピンストライプの8匹で、受け継いだのは3匹。受け継がなかった子が出たことが、母は1つしか持っていなかったことを示しています(親子の対応が記録のとおりで、10匹のピンストライプの有無を正しく見分けられていれば、という前提つき)

  • 名前と het 表記受け継いだ3匹の名前は Lemon Blast と Kingpin。その3匹は遺伝学的にはヘテロ接合体ですが、販売名では「het ピンストライプ」とは、ふつう書きません。ホビーの het は、見た目に出ない潜性の保因を断る表記だからです

参考にした資料

モルフの図鑑サイト

・MorphMarket, Morphpedia:Pinstripe(Type: Dominant/First Produced By: BHB Reptiles/First Produced In: 2001/Aliases: Pin/Issues 欄は空/Tags: Pattern Disruption/最終更新 2022年5月16日/History の「1999年ごろオーランドのエキスポ」「as of yet 野生で見つかったのは1匹」/Appearance の頭・胴・腹・尾/コンボの一覧/2026年11月5日閲覧)

・同:ボールパイソンの形質一覧(231項目。遺伝様式の欄は Recessive / Incomplete Dominant / Dominant / Polygenic / Other / Locality の6種類で、内訳は 42 / 151 / 26 / 4 / 7 / 1/同日取得)

・同:Het Red Axanthic(不完全優性・8ボールコンプレックス。「ホビーでは het はヘテロ接合の略だが、ふつうは潜性形質の見た目に出ない1遺伝子の状態を指す」「技術的には Het Red Axanthic がヘテロ接合型、Red Axanthic がホモ接合型」/同日閲覧)

・同:Stranger(欄は Incomplete Dominant。本文に「suspected」と、繁殖での確認が要るという留保/同日閲覧)

・World of Ball Pythons:Pinstripe(Genetics: Dominant/First Produced By: Brian Barczyk, Bhb Reptiles/Year: 2001/Pin, Pinstrip/「reduced morph with two distinct lines on it's back. It completely lacks alien heads and flames」/Genetic Tests Available: 「Unfortunately we don't have test available for this morph yet」/同日閲覧)

遺伝子検査の提供元

・ProHerper(World of Ball Pythons の運営)の検査一覧(ボールパイソンのモルフ検査54項目。うちブラックパステルとシナモンは「coming soon」。ピンストライプは入っていない。ストレンジャー・ジェネティックストライプは入っている/2026年11月5日閲覧)

・Cltch:Genetic Testing(Rare Genetics, Inc. への脱皮殻検査の案内)(Standard 23項目+RGI Exclusive 36項目。ピンストライプは RGI Exclusive に掲載。「ヘテロ接合か、ホモ接合か、陰性かを判定する」/同日閲覧。当店が見たのは Cltch の案内ページで、Rare Genetics, Inc. に直接確認したものではありません。利用したこともなく、受付状況・精度・対象変異は確かめていません)

当店の図鑑・記録・記事

・モルフ図鑑:ピンストライプ(Dominant・パターン・2001年・BHB Reptiles・頭/胴/腹/尾の記述・「野生で1匹」)/同:ストレンジャー/同:レオパード/同:コンフュージョン/同:ジェネティックストライプ/同:トライストライプ/同:レッドストライプ/用語集:ピンストライプ・ヘテロ接合/コンボ一覧232件(構成形質に「ピンストライプ」が入るのは35件)

・交配記録(38件。親の登録名にピンストライプが入るのは2件)/LCB20230601007(2023年6月1日産卵・8月5日孵化・8卵8匹)/個体データ(2026年11月5日時点で、卸売向けの表示設定を含めて360件。登録名からピンストライプが読み取れるのは7件。het 表記はクラウン・デザートゴースト・ラベンダーアルビノ・パイボールド・ハイポ(ゴースト)・TSKアザンティック・パズル・ウルトラメル・モンスーン・モナーク・アムールの11件で、ピンストライプには0件)

・モルフとは?品種と遺伝の仕組み/BELコンプレックスとは?/モルフ計算機の使い方/初心者におすすめのモルフ(Issues 欄が埋まっているのは231件中21件、スパイダーの愛称の数え方)/ノーマル(エイリアンヘッド)/クラウン

本記事は、モルフの図鑑サイト2件、遺伝子検査の案内2件、および当店が公開している図鑑・コンボ一覧・交配記録・個体データを突き合わせて整理したものです。資料どうしが食い違ったところは、食い違いとして残してあります。

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