ボールパイソン専門サイト ~ Infinity of Ballpython

ボールパイソン専門サイト
  • トップ
  • 販売個体
  • ブログ
  • モルフ計算機
  • モルフ図鑑
  • 用語集
    • 餌診断
    • ストレスチェッカー
  • あいのり便
  • トップ
  • ブログ
  • ボールパイソンの便秘|正常な間隔の幅と、家で見る5点・受診の目安

飼育

ボールパイソンの便秘|正常な間隔の幅と、家で見る5点・受診の目安

eyecatch

「1週間も便が出ていない」で不安になる人がいる一方で、「ひと月出ていない」を普通だと思っている人もいます。ボールパイソンの給餌間隔は、当店の早見表でも5〜7日から21〜42日まで開きます。「何日出なければ異常」という一つの線は引けません。

この記事では、まず資料が出している目安と、その限界を数字で確認し、糞と尿酸を分けて記録する理由、便秘の背景として資料が挙げているもの、家で確認する5点、家でやらないこと、そして受診の目安を緊急度ごとに整理します。床材と誤飲は床材の記事、食べていない状態そのものは拒食の記事にあります。

目次

  • 「少なくとも月1〜2回」を、日数の合否判定に使わない
  • 代謝を測った研究は、排便の時期を測っていない
  • 糞と尿酸は別。ただし「尿酸だけ=空」ではない
  • まず環境を見る。ただし環境で終わらせない
  • 家で確認する5点
    • ① 温度——設定値ではなく、ケージの中の実測
    • ② 水——全身が浸かれる容器を用意し、水は毎日交換
    • ③ 湿度——資料ごとに数字が違う。合成しない
    • ④ 広さ——動けることが前提になっている
    • ⑤ 前回の餌——サイズの基準は資料で割れている
  • 家でやらないこと
  • 受診の目安は、緊急度で分ける
    • すぐ連絡する
    • 日数を待たずに相談する
    • 様子を見る範囲と、相談に切り替える線
  • 床材の誤飲を減らす——給餌のときの注意
  • 当店 LilBalls の運用
  • まとめ

「少なくとも月1〜2回」を、日数の合否判定に使わない

頻度の目安を書いている資料はあります。ボールパイソンを名指しした資料では、ARAV(米国爬虫両生類獣医師協会)の飼育ガイド の1文がいちばん直接的です。

引用(ARAV):排便の頻度は、食べた量と年齢によって変わる。ただし少なくとも月に1〜2回はあるはずである。

ただしこれは飼育上の目安であって、便秘を診断する閾値ではありません。ARAV 自身が「食べた量と年齢による」と前置きしています。そして、食べる間隔は体重で大きく変わります。

  • 当店の餌のサイズと頻度の記事の早見表:生後3〜5食目で5〜7日、200〜350gで7〜10日、500〜1500gで14〜21日、1500g以上で21〜42日。
  • ボールパイソンとは?の記事:「大きく育った成体は2〜3週間以上空けても問題ありません」。
  • RSPCA のロイヤルパイソン ケアシート:幼蛇は5〜6日ごと、成体は体重により7〜14日ごと。
  • ARAV:最初の2〜3年は7〜10日に1回、それ以降は2週間に1回。RVC(英国王立獣医大学)の飼育ガイド は成体は1〜2週間に1回。

1500g を超える個体を当店の目安どおり6週間隔で与えていれば、給餌そのものが無い月も出てきます。ARAV 自身が「食べた量と年齢による」と書いているとおり、「月1〜2回」を日数のままの合否判定に使うことはできません。ただし逆向きにも使えません——給餌の間隔が長いことは、排便が無くてよい理由にはならないからです。前に食べた分の排泄が残っていることもあります。

  • 材料は1つではない最後に糞を見つけた日/最後に食べた日と回数・餌のサイズ/その個体のこれまでの排便の間隔/体重の推移/ほかの症状。この5つを並べて見ます。これらを1つの数字に落とす計算式はありませんので、「何日で異常」という線を自分で引かないでください

  • 拒食が続いているなら、そちらも見る食べていない期間は出るものも少なくなります。ただし閉塞そのものが食欲不振の原因になることも VCA は挙げているので、「食べていないから出ないだけ」と決めてしまわないでください

  • 日数だけで受診を決めない日数に何が併発しているかで決めます。受診の目安の章で緊急度ごとに分けました

食べていない状態そのものについては、VCA Animal Hospitals(ヘビを飼うということ) が次のように書いています。

引用(VCA):ヘビ、とくにボールパイソンは、新しい家と新しい環境に移るストレスのあと、数週間から数か月食べないことがある。/パイソンやボア類には、冬の間は体の代謝が自然に落ちるため食べなくなるものもいる。

ただし拒食を放っておいてよいという意味ではありません。長引く拒食は病気のサインであることもあります。切り分けは拒食の原因と対策の記事にまとめています。脱皮前に食欲が落ちる個体もいるので、脱皮の周期も一緒に記録しておくと判断が速くなります。

i

当店の既存記事にも同じ趣旨の一文があります

床材の記事で、誤飲が心配なときの見方として「排便がないことだけでは閉塞とは判断できません」と書きました。排泄の有無は、ほかの材料と合わせて初めて意味を持ちます。

代謝を測った研究は、排便の時期を測っていない

「1週間も経ったのだから、もう出ていいはずだ」という感覚には、消化そのものにかかる時間の話が混ざっています。そこは測られています。

Ott & Secor (2007) Journal of Experimental Biology 210:340 は、ボールパイソン(Python regius)を含む5種のニシキヘビに体重の25%にあたる齧歯類を与え、30℃で代謝の変化を追いました。代謝速度は給餌の1.5日後に頂点(標準代謝の9.9〜14.5倍)に達し、給餌前より有意に高い状態が6〜8日続きました。

ここで引用した代謝のデータは、いつ便が出るかを示していません。排便の期限を決めた研究ではないので、「6〜8日経った=出る合図」でも「6〜8日で出なければ異常」でもありません。言えるのは、代謝の山が収まったことを排便の合図として使えない、という一点です。

!

この 25% は、当店の目安のおよそ2倍です

実験の給餌条件をそのまま家庭に持ち込まないでください。当店のボールパイソンとは?の記事が挙げている家庭向けの目安は体重の10〜15%程度で、体重の25%はその約1.7〜2.5倍にあたります。実験は種どうしを同じ条件で比べるための設定であって、推奨量ではありません。

糞と尿酸は別。ただし「尿酸だけ=空」ではない

ヘビの排泄物は茶色〜黒の糞と白いチョーク状の尿酸が一緒に出るのが基本です。このうち白いほうは、窒素の老廃物が固形で出てきたものです。

引用(Merck Veterinary Manual「爬虫類の栄養」):ほとんどの爬虫類は窒素を主に尿酸として排泄する。/爬虫類が排泄する窒素老廃物の内訳は、餌の量と組成、給餌の頻度、そして体の水分状態によって変わりうる。

ただし、尿酸は腎臓から、糞は消化管から来るもので、総排泄腔でつながり、総排泄口から出ます。したがって「白いものが出ている=消化管が空」とも「便秘ではない」とも言えません。尿酸は出ているのに糞だけが出ない、という状態はありえます。

記録のうえで実際に役立つのは、次の分け方です。

  • 糞と尿酸を分けて書く。「排泄あり」とだけ書くと、あとから「糞は出ていたのか」が分かりません
  • 白いものだけが続いている。食べていない期間と重なっているかを、まず給餌の記録と突き合わせます。ただし、これだけで閉塞は否定できません
  • 糞にふだんと違うものが混ざっている。床材や異物が見えたなら、写真に残して受診のときに伝えてください

i

尿酸そのものが詰まることがあります

Long Beach Animal Hospital(ヘビの閉塞) は、ヘビの閉塞について「脱水はよくある原因で、尿酸の塊(urate plug)が食物の流れを止めてしまう」としています。水は「飲まないから要らない」ものではありません。全身が浸かれる大きさの器を用意し、その水を毎日替える理由は水入れの記事にあります。

まず環境を見る。ただし環境で終わらせない

便秘という言葉を名指しで使い、原因まで書いている資料があります。

引用(RSPCA):便秘は、そのヘビの水分が足りていないか、バスキング温度が消化に必要なだけの高さに達していないサインである可能性がある。

この2つ——水分と温度——が、最初に確認する対象です。LBAH は、その水分不足がどこから来るのかまで書いています。

引用(LBAH):脱水はよくある原因で、尿酸の塊が食物の流れを止めてしまう。この脱水は、湿度が低すぎる、ヘビが水に浸かれない、温度が低すぎる、といったケージから来る。

つまり低湿度・浸かれない・低温 → 脱水 → 閉塞という入れ子です。4つの独立した原因が並んでいるのではありません。同じ資料はほかに「タオルやケージの床材を飲み込んでしまうこと」と、「ケージが十分な広さでなく、自然に動けないために腸の動きが落ちること」を挙げています。

温度については、ARAV がさらに短く言い切っています。

引用(ARAV):室温では、ヘビの消化と健康にとって十分ではない。

!

環境を確認したことは、病気を除外したことになりません

ここまでは「最初に見る場所」の話です。VCA(ペットのヘビによくある問題) は、腹部の異常な膨らみの原因として異物による消化管の閉塞のほかに卵の停滞、腫瘍、腎疾患・肝疾患などに伴う臓器の腫大を挙げています。RSPCA は「体重の減少や下痢は内部寄生虫のサインでありうる」としています。繁殖歴・産卵歴、体重の推移、動き方の異常は、環境が正常でも受診を選ぶ材料になります。

なお ARAV はボールパイソンによくみられる疾患の一覧に「Obstipation/constipation(頑固な便秘・便秘)」を含めています。ただしこの一覧は11項目の並びで、順位も発生率も書かれていません。「よくある疾患として名前が挙がっている」までが読み取れる範囲です。

家で確認する5点

順番は測れるものからです。感覚で判断する項目を後ろに回します。

① 温度——設定値ではなく、ケージの中の実測

  • ARAV:日中の全体は27〜29℃、バスキングは32〜33.3℃、冷たい側は23.8℃を下回らない。
  • RVC:バスキングの上限は32℃前後、冷たい側は24℃前後。夜間も24℃前後を下回らないようサーモスタットで保つ。
  • RSPCA:バスキングゾーンは30〜32℃。サーモスタットのプローブは床材の上、動物と同じ高さに置く。

室温を測っても、ケージの中の答えにはなりません。見るのは暖かい側・冷たい側・床面の3点で、空気の温度と床面の表面温度は別に測ります。測り方は適温の記事、温度計の置き場所は温湿度計の記事にあります。

② 水——全身が浸かれる容器を用意し、水は毎日交換

RVC は「水は常に用意し、ヘビが全身を沈められる大きさの容器を使い、毎日交換すること」、RSPCA は「冷たい側に置き、少なくとも毎日取り替える。汚したらできるだけ早く交換する」としています。脱水のサインとして MSD Veterinary Manual(爬虫類の障害と疾患) が挙げているのは「皮膚のたるみ、落ちくぼんだ目」です。

③ 湿度——資料ごとに数字が違う。合成しない

湿度も、LBAH が脱水の入口に挙げている項目です。ただし推奨値は資料で割れています。ARAV は60〜80%、RSPCA は冷たい側で通常50〜60%、霧吹きで一時的に80%程度まで上げてから下げるという書き方です。違う資料の数字を足して1つの基準にしないでください。どの数字を採るかと、どこで測るかは湿度の記事で整理しています。

④ 広さ——動けることが前提になっている

RVC は成体に「絶対的な最小で 48×24×24 インチ(約122×61×61cm)」、ARAV は「ケージの長さは、少なくともヘビの全長の3分の2」としています。LBAH が挙げた「動けないと腸の動きが落ちる」は、この項目にあたります。

⑤ 前回の餌——サイズの基準は資料で割れている

ここも1つに決まっていません。ARAV は「胴の中央でいちばん太い部分より太くない餌」、RSPCA は「原則として、胴のいちばん太い部分よりやや太い餌を与える」と、逆を向いています。当店のボールパイソンとは?の記事は「胴の一番太い部分と同じくらいの太さ、目安として体重の10〜15%程度」です。どれを採っているかを自分で決めておくことが、「大きすぎたかもしれない」を判断する前提になります。

  • 記録が無いなら、今日から取るケージ掃除の記事のとおり、排泄物は見つけ次第取る作業です。個体ごとに発見した日と、糞か尿酸かを控えます

  • 写真を撮ってから片付ける色・形・量は言葉にしにくいところです。受診を迷う段階でも、撮っておくと説明が速くなります

  • 体重を測る出ない状態が続いているとき、体重が落ちているか保たれているかで意味が変わります。RSPCA も定期的な体重測定を勧めています

家でやらないこと

検索でよく出てくる対処のうち、資料の側では「病院の処置」として並んでいるものがあります。

引用(LBAH・治療の項):ぬるま湯に15〜30分、毎日浸けることが、症例によっては大きな助けになる。/給餌用チューブを使って潤滑剤を投与する。/輸液で脱水を補正する。/患部のマッサージ。/多くの場合、我々が診るころには外科的に開けて、閉塞した腸の内容物を取り出す必要がある。

  • オイル・下剤・浣腸を自己判断で与える潤滑剤の投与は、上の引用のとおりチューブを使う処置として書かれています。犬猫用の下剤も同じで、薬剤の判断は獣医の領域です

  • 胴を押して、便を送り出そうとするMSD は、総排泄口からの脱出について「腹腔内で場所を占める病変によって、排便時に強くいきむこと」を原因のひとつに挙げています。外から押して中身を動かそうとしないでください。当店の拒食記事との関係は、この下に書きました

  • 温浴で様子を見続けるLBAH は「ぬるま湯に15〜30分、毎日浸けることが、症例によっては大きな助けになる」と書く一方、同じページで紹介している重い症例については「温浴・潤滑剤・輸液といった内科的治療はまったく効かなかった」としています。この記述から、家庭での温浴が効くかどうかも、どの状態に向くかも決められません。温浴は、受診を先送りにする理由になりません

  • 「出すために」餌を足す排便を促す目的で給餌を重ねることは勧められません。閉塞が背景にある場合、状態を悪くするおそれがあります

i

当店の拒食記事にある「優しく絞り出す」について

当店の拒食の記事には、詰まりに対して生体を傷つけないレベルで優しく押す方法が書かれています。この記事は、そこを訂正します。詰まっているものが何で、どこで止まっているのかを外から見分けるのは難しく、「これは尿酸だけだ」と判断できる前提を置けません。総排泄口に何か見えているときも、同記事の記述にかかわらず、自分で押したり引き出したりせず、爬虫類を診る獣医師に相談してください。

!

吐き戻しがあったら、家での対処はそこで打ち切る

LBAH は、便秘のヘビの様子を「たいていは腹が張り、ぐったりしていて、餌を食べない。餌を吐き戻すことさえある」としています。ただし吐き戻しそのものは、閉塞だけのサインではありません。温度が低い、給餌後に扱った、餌が大きすぎた、感染症——原因は複数あります。だからこそ、排便が止まっていることと吐き戻しが重なったら、家での対処を続けず相談してください。

受診の目安は、緊急度で分ける

日数で決めず、何が併発しているかで決めます。複数に当てはまる場合は、緊急度の高いほうに従ってください。

すぐ連絡する

  • 総排泄口から何かが出ている。MSD の見出しは「Vent Prolapse(総排泄口の脱出)」で、脱出しうるものとして総排泄腔・結腸・卵管・半陰茎などを挙げています(同資料は爬虫類全般の説明で、膀胱は「ある種では」という条件つきです)。何が出ているかの判別と処置は病院の仕事です。出てきた組織は乾かさないようにしてください
  • 著しくぐったりしている/開口呼吸や呼吸音がある。便秘かどうかを詰める前の段階です

日数を待たずに相談する

  • 排便が止まっていることに、腹部の張り・部分的な膨らみが重なっている。VCA は異物による閉塞のほか、卵の停滞・腫瘍・臓器の腫大も膨らみの原因に挙げています
  • 吐き戻しがある。前章のとおりです
  • いきんでいるのに何も出ない。
  • 体重が落ちている。RSPCA は体重減少と下痢を内部寄生虫のサインに挙げています
  • 繁殖に関わる心当たりがある(交尾歴・産卵歴・急な体型の変化)。
  • ふだんと違う食欲の落ち方が続いている。VCA は消化管の閉塞を食欲不振を起こす疾患のひとつに挙げています。拒食の記事で環境側の原因も確認し、その結果とあわせて獣医師に相談してください

様子を見る範囲と、相談に切り替える線

上に当てはまらず、元気で、体重も保たれている場合です。それでもその個体のこれまでの排便の間隔を超えて出ない状態が続くなら、相談に切り替えてください。ARAV の「月1〜2回」は飼育上の目安であって、「ひと月までは待ってよい」という許可ではありません。給餌の間隔が長いことも、排便が無くてよい理由にはなりません。待ってよい日数を自分で決めず、いつもと違う状態が続いたら相談するに寄せてください。

病院で何をするかも、知っておくと相談しやすくなります。LBAH は閉塞について「確定診断はレントゲンで行い、閉塞している部位を見る」としています。ただしあらゆる便秘・膨らみが単純レントゲンだけで決まるわけではありません。問診と触診に加えて画像検査を行い、疑う原因に応じて造影・超音波・糞便検査などが追加されます。

持っていくと話が速いものを挙げます。最後に食べた日と餌のサイズ/最後に糞・尿酸を見つけた日(それぞれ別に)/ケージの実測温度(暖かい側・冷たい側・床面)/湿度/床材の種類/体重の推移/繁殖歴・産卵歴/排泄物の写真。前章の確認をしていれば、ほとんど手元にあります。

i

爬虫類を診られる病院を、先に探しておく

便秘に限らず、症状が出てから探し始めると、受診先を探すところで時間を使います。ARAV は Find a Vet のページを用意しており、RVC は年1回の健康診断を勧めています。近所の動物病院が爬虫類を受けるかどうかは、元気なうちに電話で聞いておけば済みます。

床材の誤飲を減らす——給餌のときの注意

原因として挙がったもののうち、手順で減らせるものが誤飲です。2つの資料が、近い方向の注意を書いています。

引用(RVC):ヘビに床材の上で直接餌を与えないよう注意すること。偶発的な飲み込みと閉塞を避けるためである。

引用(RSPCA):ケージの中で給餌するときは、ヘビが誤って床材を飲み込む危険があるため注意すること。トングを使って餌を差し出し、飲み込み終わるまでヘビを見ていること。

RVC は床材の上で直接与えないこと、RSPCA はトングで差し出し、飲み込み終わるまで見ていること——書いていることは同じではありませんが、狙いは共通です。当店の床材の記事にある「ピンセットで床から少し持ち上げて咥えさせる」も、この方向の工夫のひとつです。ただし持ち上げれば付着がゼロになるわけではありません。巻きついて締めるあいだと飲み込むあいだに床材が付くので、RSPCA の書き方どおり飲み込み終わるまで見ているところまでが手順です。

床材そのものの推奨は、資料によって違います。ARAV が不適当としているのはスギ(シダー)、コーンコブ、ウッドチップ/削りくず、砂利、土、石で、適した床材として挙げているのは新聞紙、ペーパータオル、屋内外兼用カーペット、人工芝です。一方 RVC はアスペン、オーキッドバーク、ウッドチップ、サイプレスマルチを市販の選択肢として挙げ、新聞紙やペーパータオルは短期向きとしています。RSPCA は砂は皮膚を刺激するため勧められない。床材は資料間で一致していないので、選び方は床材の記事で条件ごとに整理しています。

残りの予防は、これまでの章の裏返しです。温度を実測で保つ/水を毎日替える/広さを確保する/排泄を見つけた日を記録する。とくに最後のひとつがあると、「そういえば最近見ていない」に気づきやすくなります。

i

冷凍餌の扱いも、水分の話につながっています

Merck は「多くの肉食性爬虫類は、餌を栄養源としてだけでなく水分源としても頼っているため、餌の水和状態がきわめて重要である」とし、解凍について「解凍は 8℃未満の冷蔵状態で行うべきである」としています。一方 RVC は給餌の前に体温程度(37℃)まで温めるとしているので、手順としては低温で解凍してから、直前に温めるという順になります。保管と解凍の実務は 姉妹店 LilRats の冷凍餌の衛生管理の記事 に整理があります。

当店 LilBalls の運用

当店は100匹以上のボールパイソンをラックで飼育しています。1ケージで飼う場合とは前提が違うので、そのまま真似する必要はありません。ただ、排泄を見る仕組みの作り方は規模によらず同じです。

毎日の作業が、そのまま記録になります。ケージ掃除の記事のとおり、日々のメンテナンスは「排泄物を取る」と「水を替える」の2つで終わります。ここで残るのは排泄した日ではなく、見つけた日です。見ていない時間のほうが長いので、そこは正確に分けておいたほうが、あとで診察の役に立ちます。個体の番号と、見つけた日と、糞か尿酸か——排泄についての基本の記録はこの3つです。

床材は、状態が見えることを優先しています。床材の記事に書いたとおり、多頭では掃除のしやすさと状態の見えやすさを取っています。この記事の文脈で言えば、シート系は出たかどうかが一目で分かるという利点です。チップ系は汚れが見えにくく、気づくのが遅れます。

室温は「背景の温度」です。適温の記事のとおり、エアコンで部屋そのものを年間27〜28℃にしています。これは冷えすぎる室温を避けるための土台であって、これだけで温度勾配ができるわけではありません。暖かい側・冷たい側・床面は、室温とは別に測ります。

誤飲を減らすため、与え方に気をつけています。拒食の記事に書いたとおり、当店では100匹以上の飼育で誤飲により体調不良になった個体はいません。ただしこれは当店の環境での観察であって、与え方が誤飲を防ぐことの証明ではありません。床材・レイアウト・個体の食べ方が違えば結果も変わります。

環境そのものが適切かどうかは、当店のストレスチェックツールでも確認できます。温度・湿度・広さといった、この記事で確認した項目とほぼ同じところを聞いています。

まとめ

  • 「何日で異常」という線は引けない。給餌間隔は当店の早見表でも5〜7日から21〜42日まで開きます。最後に糞を見つけた日・最後に食べた日と餌のサイズ・その個体のこれまでの排便間隔・体重・ほかの症状を、並べて見ます
  • ARAV の「少なくとも月1〜2回」は飼育上の目安。便秘の診断閾値でも、「ひと月までは待ってよい」という許可でもありません
  • 代謝を測った研究は、排便の時期を測っていない。体重25%の餌・30℃で、代謝は1.5日で頂点、給餌前より有意に高い状態が6〜8日。これを排便の期限として使うことはできません
  • 尿酸が出ていても、便秘・閉塞は否定できない。尿酸は腎臓から、糞は消化管から。記録は分けて取ります
  • 最初に見るのは水分と温度。RSPCA が便秘を名指しで脱水と低いバスキング温度に結びつけています。ただし環境の確認は病気の除外ではありません——卵・腫瘤・臓器腫大・寄生虫が背景のこともあります
  • 家で見るのは5点。ケージ内の実測温度、全身が浸かれる容器と毎日の水替え、湿度、広さ、前回の餌のサイズと日付
  • オイル・下剤・浣腸・胴を押すのは家でやらない。温浴も、家庭でやるべきかどうかを自己判断せず、受診を先送りにしないこと
  • 受診は緊急度で分ける。総排泄口からの脱出・著しい衰弱はすぐ。排便が止まっていて、腹部の膨らみ・吐き戻し・いきみ・体重減少・ふだんと違う食欲の落ち方のいずれか1つでもあれば、日数を待たず相談します
  • 誤飲は給餌のときの手順で減らせる。RVC は床材の上で直接与えないこと、RSPCA はトングで差し出し飲み込み終わるまで見ていること。ただし付着がゼロになるわけではありません

「何日出ていないか」は、判断の材料のひとつでしかありません。日数の記録に、体重とケージの実測を足す。最後に糞を見つけた日、最後に食べた日と餌のサイズ、体重、暖かい側と冷たい側の温度——これらは、様子を見ると決めたときにも、受診すると決めたときにも、そのまま使えます。

関連ツール

あなたのボールパイソン、ストレスを抱えていませんか?

温度・湿度・明るさなど6つの質問に答えるだけで、飼育環境のストレス度を診断できます。

無料でストレスチェックをする
  • Twitter
  • Facebook
  • LINE

こちらの記事もおすすめ

Lil Rats 〜 蛇ブリーダーの営む国産ラット・マウス販売店

Lil Rats 〜 蛇ブリーダーの営む国産ラット・マウス販売店

飼育

日々100以上のヘビが食べている安心、安全の冷凍ラット・冷凍マウスです。食いつきもご好評いただいております。

PR

Lil Ballsは、ボールパイソンブリーダーが運営するボールパイソン専門店です。

世界最高峰のUS有名ブリーター(KINOVA等)から親子個体を購入し繁殖を行なっております。

最高の遺伝子を持ったボールパイソンの親を育て上げ、最高のボールパイソンを生み出すことを目的に日々精進しています。

  • トップ
  • モルフ計算機
  • モルフ図鑑
  • 販売個体
  • ブログ
  • 用語集
  • ツイッター
  • インスタグラム
  • Youtubeチャンネル
  • 餌診断
  • ストレスチェッカー
  • 繁殖記録
  • お知らせ
  • 店舗情報
  • あいのり輸入便
  • 卸販売(業者様向け)

Copyright ©︎ 2026 Lil Balls

トップ

販売個体

ブログ

モルフ計算機

モルフ図鑑

用語集