ボールパイソン専門サイト ~ Infinity of Ballpython
ピット器官とは、ボールパイソンが持つ、赤外線(熱)を感じ取る感覚器官です。上唇と下唇のうろこに沿って、小さなくぼみ(スリット)が複数並びます。
中身は、特殊化した三叉神経の線維と毛細血管です。赤外線が組織に吸収されてわずかに温まり、その温度変化を神経が拾う——という仕組みで働きます。赤外線を光として変換しているのではありません。
熱を受け取るセンサーは TRPA1 という、熱で開くイオンチャネルです。
信号は三叉神経を通って脳の視蓋へ送られ、視覚などほかの感覚の入力と重ね合わされます。受け取り口は目とピットで別々でも、最後は一緒に処理されています。
マムシ類(ガラガラヘビ、ハブなど)が目と鼻孔のあいだに持つロレアルピットとは別のものです。あちらは一対だけで、中が空洞になっていて薄い膜が宙づりに張られています。ボールパイソンの唇のピットにその複雑な構造はなく、赤外線の感度も低いと報告されています。
解説図でよく見る「空洞の中に膜」の断面図は、マムシ類のほうの図です。
用途は獲物の探知だけではなく、熱の変化を感じ取って居場所を選ぶことにも関わるとされています(ただし確かめられているのはマムシ類です)。唇のピットは、ボアとパイソンの系統で何度も別々に獲得されたと復元されています。
給餌のときの注意です。ピットは離れた場所の赤外線を受け取る器官で、何かを接触させる必要はありません。餌やピンセットを顔に押しつけると目や鼻先を傷めます。
また、熱活性化の閾値として報告されている温度(ボールパイソンで32.7℃)は、取り出したチャネルを温めたときに電流が増えはじめる値です。獲物やケージの温度ではないので、解凍や湯煎の温度の目安には使えません。
詳しくは当店のピット器官の記事にまとめています。